1 扉の先
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「おい、レナス鍵閉めたんだし、いつも通り話せよ。なんか調子狂うんだよな~」
ゼロスは肩を竦め、困ったように言った
「そう言うけど~あたし身分低いし、城内だけでも敬語使っとかなきゃまずいでしょ?“ゼロス”」
そう自嘲的な物言いでレナスは “様”付け を止めると、いつも通りの話し方に戻した
「ーーーーッ!それは⋯そうだけどよ⋯。あと俺様レナスが暫く帰んないなんて聞いてないぜ!?」
ゼロスは椅子ではなく、テーブルに足を組んで座っているレナスの目の前までくると、如何にも文句あり気に言ってきた
が、レナスは腕を組み一言
「言ったわよ」
「いつだよ?」
「4日前」
「??」
ゼロスはまだ分かってないので、レナスはさらに言葉を付け足してやる
「⋯⋯⋯⋯あたしの家に来てた時」
「!!!!もしかして…⋯あの時かっ!?」
「あたり♪」
そう言いながらレナスは人差し指をゼロスの唇に押し当てた
「あん時に言うのはなしだろっ!」
「うーん⋯でもあと言うタイミングがなかったのよね」
「うっ⋯⋯それを言われると⋯」
と、そんなやり取りをしていると執務室の扉がドンドンと叩かれた
「姉様ぁ~!ゼロス~開けて~」
ドンドンっ
「ほら⋯可愛い~婚約者様がきたわよ」
「チッ…その話は後でまた蒸し返すからな!」
「蒸し返さなくていーってば」
少し怒り気味のゼロスに対し、レナスは舌をべっ、と出しておどけてみせる
ゼロスが鍵を開けると婚約者のレオーネが入るなり、ゼロスに抱きついた
「ゼロス~挨拶頑張ったよ。褒めて褒めて☆」
「あぁ、偉かったな」
よしよしとレオーネの柔らかいエメラルドの髪を撫でやる
レオーネはしっかりゼロスに抱きつきながら心地よさそうに彼の胸に頬を擦り寄せた
レナスはこんな光景を見せられると、妹が心底羨ましく思い、心の底から嫌なモノが湧き上がるような気がして、ギュッと一瞬だけ唇を噛んだ
そしていつものように彼女は自身の心を押し殺し、普段通り振舞う
「あたし、お邪魔虫みたいだし着替えて帰るわね…?」
「えぇ~待ってよっ。姉様少しお話しようよ~!暫く会えないし、聞きたいこともあるのにー」
「ん?聞きたいこと?」
「あ!うん。しいなもしばらく会えないって言ってたけど本当?」
「あぁ⋯その件ね。そうよ。陛下の任命で衰退世界…シルヴァラントにね……」
「おぉ、それは俺様も聞いたぜ。誰かさんと違ってな」
ゼロスの余計な一言にレナスはキッっと、視線だけで彼を睨むとゼロスは両手を挙げて降参と言わんばかりな格好をした
「しいなは少し甘い所があるけどなんとか大丈夫でしょ。逃げ足は早いし、しくじっても死にはしないわ」
「ふ~ん。あたし、しいなに会うといつも逃げられるんだよね。早く走る訓練だったのかな?」
「「…⋯⋯⋯」」
「(あぁ、しいなはレオーネ苦手だからね(な))」
「レオーネ、ゼロスの書類が終わるまでだったら一緒に話でもしましょうか」
パァっと笑顔でレオーネは頷き、抱きついていたゼロスから離れ、髪色と同じエメラルド色の瞳を宝石のように輝かせ、今度はレナスに抱きつく
「わーい、姉様大好き!」
「うぇ~…、やっぱり俺様は書類やんなきゃ駄目なのかよ…トホホ」
「いいから黙ってやるの」