「うむ。レナスはもう少し淑やかなくらいがちょうどいいだろう」



微笑しながらクラトスが言うとレナスがふてくされたような顔をする



「あ、あたしだって⋯歌姫の仕事中はちゃんとそれらしく振舞ってるわ！」



「ふっ⋯そうだったな」



「もうっ！そんなことより明日からの事だけど」



クラトスに背を向けていたレナスはまたくるりと回ってクラトスの方に向き直る



「そうだったな。できるだけ自然な形で神子達に合流するのが望ましいな」



「それなら大丈夫！一応シナリオは考えてるわ。クラトスはモンスターに襲われて怪我した新米傭兵を助けたってことにして、あとはあたしに合わせてくれればいいわ」



「…うむ、なるほどな。では、そうしよう。それより長時間夜風は体に悪い。早く部屋に戻れ｡明日朝、部屋まで迎えに行く」



「わかったわ。あっ!!魔術ももちろん使わないから宜しくね」



そういって泊まっている宿の部屋を教え、レナスはクラトスの後ろ姿を見送る



「なーんちゃって。誰が大人しく部屋に戻るかっての｡目も冴えちゃったし酒場にでも行きますか♪」



レナスはクラトスに内緒で１人酒場へと心を弾ませながら向かっていった