「今、帰った」



「おかえりなさいませ。リーダー、ボータ様!」



シルヴァラントベースに帰ってきたのは、青髪に長髪のリーダーと呼ばれるユアンという、若い男とその右腕ともいえる厳つい顔をした部下ボータという男



ユアンは室内をキョロキョロと見回し、誰かを探している様子



目的の人物が見当たらず、近くにいる兵に聞く



「レナスがきてないか？用があって呼んでいたのだが…?」



聞かれた兵は背筋をピシッと伸ばし、敬礼をしながら答えるが、どこかその返事だけは見た目と反してしどろもどろ



「は、はい！…その…来ております⋯が…。あの…レナス様は今、リーダーの私室におります。ただ⋯⋯その⋯」



「なんだ？レナスがどうした？はっきり答えろ」



どうも兵の挙動がおかしく不信感を抱き、怪しく思ったユアンは更にその兵に詰め寄る



「おい！なにかあったのか?」



「えっと⋯」



答えるのを躊躇う兵の様子を見たボータは何かに気づき、声を上げる



「まさか…!?………ユアン様、とりあえず先に私室へ向かいましょう！」



ユアンより先にボータが何かを察した様子でユアンに視線をおくる



「⋯⋯⋯⋯⋯あぁ⋯ハァ⋯どうも嫌な予感しかしないな。レナスの奴、相変わらず手がかかる奴だ」



そしてユアンも大方何があったのか察しがついたのか大きく溜め息を吐き、自身の私室へと足早に向かう



その場に残された兵は、そんな2人の背中を見つめ、その背が見えなくなっても、その場にいた兵達は少し震え、その場に立ち尽くし、ボソリと呟く



「これは⋯⋯絶対怒られるやつだな」



「あぁ⋯⋯」



「怒られる時は皆、一緒だ⋯⋯諦めよう」