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20241118 艦これ二次創作 未来の悪役令嬢・軽巡棲姫と「私」の出会い編(縦書き小説画像付)

タイトルがすべてです(*^-^*)
マイワールド設定をなるべく除外したら短めになりました!
セリフをカタカナにしていないのはそっちのほうが読みやすいかな~と思ったからです。
「私」の性別はどちらでも構いません、今は。

以下文章のみ↓ 読みづらかったらこっち読んでもろて

 我が姫君と出逢った夜のことを今でもはっきりと思い出せる。
 冷たい夜風が頬を切るような、霜月の日だった。
「あなたも……帰り道を喪ったの?」
 まるで横っ面に巨大な砲弾を受けたような衝撃だった。
 私は思わずよろめいた。外気に長時間も身体を晒していたというのもあった。
 声をかけてきた彼女は、おそろしい鬼の意匠の仮面を着け、艶やかな黒髪をなびかせて佇んでいる。
 正気を失った生成りではないだろう。その身に纏っている簡素ながらも作りのしっかりした衣服で判断出来た。

 その暗い色は不思議と夜空の下でも際立って見えた。

「貴女になにがわかる」
「私もそう。見失ってしまったの」
 あとで聞いたことだが、このときの彼女は、社交夜会で同席していた婚約者に薄情な態度を取られた直後だったらしい。

 一方の私は、彼女に言われた通り、進むはずだった道を断たれてやけになっていた。
 奇妙な親近感があった。
「行き場がないのなら……」
 彼女の腕がまっすぐ差し伸べられた。

 ――私は恐る恐る手を伸ばす。震えが止まらないのは、かじかんでいるからという理由だけではないだろう。
 指先が触れる。手袋越しで溶けるほどの温かさはなかったが、冷え切った己の体にはちょうどいい温度だ。
 この方は私を引き上げてくれる。
 それでじゅうぶんだった。
「何処へでも、お供致します」
 彼女はつめたくもやわらかく微笑んだ。
 私は、その手を取ったことを最期まで後悔していない。 

        終
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