夜蝶の灯火Ⅰ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
テーブルの上にそれぞれエボリーとアイボリーを置いて写真立ての女性を横目に見る。繊細な事はダンテも理解していて、千尋に聞くにもきけず、尚且つ、取り乱したのを見れば彼女が不安なのも頷ける。
少なくとも、悪魔絡みなら少なくともエボリーとアイボリーは必ず使わなければならい。すると事務所のドアが開き、中年男性のモリスが帽子を取って顔を覗かせた。
「なんだ。珍しく辛気臭い顔してるな」
「ストロベリーサンデーが溶けちまってな」
ソファ近くのテーブルには冷め切ったピザとその片隅に溶けきったストロベリーサンデーが。そしてダンテの前の二丁の銃を見て、モリスがソファに腰を下ろす。
「仕事の依頼に来たんだが、.....それどころじゃないみたいだな」
「悪いが、今抱えてる仕事が長引きそうでな」
「巷の行方不明者の話か?それは奇遇だったな。その行方不明者の中で死人が出たようで、その目撃者の一人が悪魔を見たらしい」
「それを俺に突き止めろって?」
「さすがダンテ。話が早いな」
モリスが勝手に冷蔵庫の中からコーラを取り出してプルタブを開けて喉に流し込む。それを横目にダンテが階段の向こうに一瞬だけ目を向ければ、モリスも同じように目を向けた。
「例のお嬢さんか?一度、話をしてみたかったが.....」
「......レディか」
「どうだ?あのお嬢さんも無関係って訳じゃない」
「報酬が貰えたらそれでいい。ピザが食えなかった俺の恨みは計り知れないからな」
椅子から立ち上がり二丁の銃を腰に仕舞い込み、赤いロングジャケットを着てドアに手をかけるが、モリスは心配そうに階段の向こうに再び目線を戻す。
「置いていっていいのか?」
「ずっとここにいる訳にもいかねーよ。アイツらだけに任せておけないしな」
電気が消えて静かにドアの閉まる音に、寝室で眠る千尋は気づきもしなかったーーー。
ーーーーーーーーーーーーーーー
銃を撃ちながら薄く笑うダンテの表情が夢の中でも忘れられず、少なくとも千尋はダンテに恐怖心を抱いていた。自分でもうなされるような感覚を覚え、重い瞼 を押し上げる。徐々に視界がハッキリとして寝室の天井が見えれば、ゆっくりと起き上がって眉を潜め、周りを見渡す。
『あれ.....なんでベッドに......』
サイドテーブルには事務所にあったはずの自分のカバンが置いてあり、先ほどまでいたトリッシュの姿もない。それに妙なまでの静けさに、外からの騒音が鮮明に聞えるほどだ。
ベッドから起きてそーっとドアを開けるが、事務所へと続く階段の先は真っ暗で。千尋はとりあえずカバンを持って肩に掛け、どこにスイッチがあるか分からず、スマホの明かりを頼りに一階へと下りる。
『誰もいない.......』
グーっとお腹の虫が騒ぎ出し、このとき初めて千尋はここに来て何も口にしていない事に気づき周りを見渡す。
『......お腹空いたな......』
テーブルの近くのゴミ箱には食べかけと口の付けていないピザの残骸と、誰かが飲んだであろうコーラの缶が置いてある。
急な恐怖感に駆られながらも事務所の入り口へと足を進めたとき。
『!!』
不意に電話の音が響き、足を止めて振り返る。そして頭の中で考えるーーー。電話に出てもいいが、千尋には簡単な単語しか理解出来ず、電話の受け答えは難しい。
そんな事を考えているうちに電話の音が鳴り止み、少しだけ安堵の溜息が漏れ、再び入り口へと向かいドアをゆっくりと開けた。
周りは薄暗く、街灯はチラホラあるもののそれが余計に千尋に恐怖感を植えつけた。
私を助けてくれたーーー。
でも......
"両親を殺した銃が怖い"ーーー。
あの時の光景が一瞬リフレインして、千尋が泣きそうになる瞼をギュッと閉じる。それから優しいほどに頭を撫でてくれたダンテの表情を思い出して心を落ち着かせた。
『レディさんも、トリッシュさんも、ダンテさんも......私のために色々してくれて調べてくれてる.......』
ずっと泣いてちゃ駄目だよね.....
私も力になりたいーーー.....!
グッと手に持つスマホを握り締めて、意を決して事務所から出て行く。その千尋の様子をジッと見つめる女性にも気づかずにーーー。
少なくとも、悪魔絡みなら少なくともエボリーとアイボリーは必ず使わなければならい。すると事務所のドアが開き、中年男性のモリスが帽子を取って顔を覗かせた。
「なんだ。珍しく辛気臭い顔してるな」
「ストロベリーサンデーが溶けちまってな」
ソファ近くのテーブルには冷め切ったピザとその片隅に溶けきったストロベリーサンデーが。そしてダンテの前の二丁の銃を見て、モリスがソファに腰を下ろす。
「仕事の依頼に来たんだが、.....それどころじゃないみたいだな」
「悪いが、今抱えてる仕事が長引きそうでな」
「巷の行方不明者の話か?それは奇遇だったな。その行方不明者の中で死人が出たようで、その目撃者の一人が悪魔を見たらしい」
「それを俺に突き止めろって?」
「さすがダンテ。話が早いな」
モリスが勝手に冷蔵庫の中からコーラを取り出してプルタブを開けて喉に流し込む。それを横目にダンテが階段の向こうに一瞬だけ目を向ければ、モリスも同じように目を向けた。
「例のお嬢さんか?一度、話をしてみたかったが.....」
「......レディか」
「どうだ?あのお嬢さんも無関係って訳じゃない」
「報酬が貰えたらそれでいい。ピザが食えなかった俺の恨みは計り知れないからな」
椅子から立ち上がり二丁の銃を腰に仕舞い込み、赤いロングジャケットを着てドアに手をかけるが、モリスは心配そうに階段の向こうに再び目線を戻す。
「置いていっていいのか?」
「ずっとここにいる訳にもいかねーよ。アイツらだけに任せておけないしな」
電気が消えて静かにドアの閉まる音に、寝室で眠る千尋は気づきもしなかったーーー。
ーーーーーーーーーーーーーーー
銃を撃ちながら薄く笑うダンテの表情が夢の中でも忘れられず、少なくとも千尋はダンテに恐怖心を抱いていた。自分でもうなされるような感覚を覚え、重い
『あれ.....なんでベッドに......』
サイドテーブルには事務所にあったはずの自分のカバンが置いてあり、先ほどまでいたトリッシュの姿もない。それに妙なまでの静けさに、外からの騒音が鮮明に聞えるほどだ。
ベッドから起きてそーっとドアを開けるが、事務所へと続く階段の先は真っ暗で。千尋はとりあえずカバンを持って肩に掛け、どこにスイッチがあるか分からず、スマホの明かりを頼りに一階へと下りる。
『誰もいない.......』
グーっとお腹の虫が騒ぎ出し、このとき初めて千尋はここに来て何も口にしていない事に気づき周りを見渡す。
『......お腹空いたな......』
テーブルの近くのゴミ箱には食べかけと口の付けていないピザの残骸と、誰かが飲んだであろうコーラの缶が置いてある。
急な恐怖感に駆られながらも事務所の入り口へと足を進めたとき。
『!!』
不意に電話の音が響き、足を止めて振り返る。そして頭の中で考えるーーー。電話に出てもいいが、千尋には簡単な単語しか理解出来ず、電話の受け答えは難しい。
そんな事を考えているうちに電話の音が鳴り止み、少しだけ安堵の溜息が漏れ、再び入り口へと向かいドアをゆっくりと開けた。
周りは薄暗く、街灯はチラホラあるもののそれが余計に千尋に恐怖感を植えつけた。
私を助けてくれたーーー。
でも......
"両親を殺した銃が怖い"ーーー。
あの時の光景が一瞬リフレインして、千尋が泣きそうになる瞼をギュッと閉じる。それから優しいほどに頭を撫でてくれたダンテの表情を思い出して心を落ち着かせた。
『レディさんも、トリッシュさんも、ダンテさんも......私のために色々してくれて調べてくれてる.......』
ずっと泣いてちゃ駄目だよね.....
私も力になりたいーーー.....!
グッと手に持つスマホを握り締めて、意を決して事務所から出て行く。その千尋の様子をジッと見つめる女性にも気づかずにーーー。
4/4ページ