告白




これまではキラに友人以上の気持ちを抱く人間がいなかっただけで、そんなものは単なる偶然でしかない。それも、貴重な偶然だ。

この先も自分だけのものにしておきたいなら、しっかり捕まえておく必要があると決断したアスランの脳裏に、あの金髪の“後輩”とやらの姿が浮かんでいたのは、言うまでもない。



無論キラがそんなアスランの独占欲丸出しの思考を知る由もなかった。
大いに困惑していたが、取り敢えずもっともらしい答えを捜した。
「どうって……何でかなって思ったよ。きみは僕をあてがわれたのが不満だったはずなのにって。きみにとってカガリは願ってもない相手だったはずなのにって」
「それだけか?」
「………………」
キラは口を噤んだ。嘘ではないが本当でもなかったからだ。

許婚者を変えるつもりがないと言われた事実は舞い上がるほど嬉しかった。“カガリを認めない”が“キラを選ぶ”と同義ではないと分かっていても、それでも浮き立つ心を否定出来ないくらいには。
許婚者でいる間なら隣に居ることも許されるのだと言われたような気がしていたのだ。


でも言えるわけがなかった。キラがアスランに抱く感情は複雑過ぎて、処理しろという方が無理だ。その上長い間自分を守るために張り巡らせてきた虚勢の鎧を、キラ自身でもそう簡単に脱ぎ捨てられそうにない。
弱みを知られるのが怖い。
本当は誰かに傍に居て欲しいと、独りの寂しさを知る自分は、きっと誰よりも望んでいる。
でもそれは裏を返せば弱みだともいえる。仮に傍に居てくれる誰かを得られたとして、それがキラの思い上がりだったとしたら?もう一人では立てなくなるかもしれない。独りでも生きていかなければらならいというのに。
だからずっと最初から望まず、誰にも踏み込まれないように武装してきたのだ。
そんな自分が可愛くないのも素直じゃないのも分かっていた。




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