告白




怯えを認めたらまた泣いてしまいそうだ。その程度には追い詰められていたし、だがそれだけは是が非でも回避したかった。
これ以上の醜態を曝して堪るものか。

今にも壊れそうな虚勢を再び張り巡らせるためにも、どんな衝撃に襲われても絶対に涙が溢れないように、キラの目頭に無意識に力が込もった。



「…なんで睨むんだ」
すると瞳をやや眇めたアスランが溜息と共にそんな言葉を吐き出した。
確かに睨んでいるように見えたかもしれないと我に返る。
「ちがっ、そんなんじゃない!あんまり愉快な話じゃないと思ったから、気合いが入り過ぎちゃっただけだよ!そりゃ過剰だったかもしれないけど!」
慌てて眉間を押さえて隠したキラだが、アスランの溜息混じりの発言は単なる冗談だったらしい。
「愉快じゃない…か。確かにそうかもな」
「ほぉら!やっぱり!!」

そんな意味の分からない部分で勝ち誇られても…とアスランは更に呆れたが、それを取り上げるつもりはなかった。睨まれてないのら、別にいい。
そんなものにかまけるために、キラを此処まで連れてきたわけではないのだ。



「俺にカガリ嬢と婚約する意志がないことは何度も言ったつもりだが、それを聞いたお前はどう思ってた?」

うっかり違う方向へ行きそうだった空気を払拭するように、いきなり本題へ切り込んだ。目論みは成功し、キラの表情がサッと変わる。



アスランとてこれ以上キラとの関係を曖昧にしておくのは辛く、無理だと思っていた。

下手をすれば目の前で他の誰かにかっ攫われるかもしれない。キラは自分が他人からどんな風に見えるかなんてまるで分かってないし、そういう面では恐ろしく無防備だ。他人と深く関わるのを嫌っているようだが、即ち人慣れしてないということで、それは他人との距離の取り方すら知らないということに繋がる。
そんなキラに自衛しろと言ったところで無駄なこともよく分かった。




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