告白




「――――見事だろ」

共に天空を見上げたまま、ポツリとアスランの唇からそんな言葉が零れた。この世のものとは思えない幽玄の世界に半ばトリップしていたキラは、殆ど無意識の内に同意していた。
「きれい…」



この雄大な星空を見ていると、自分の手が届くほどのちっぽけな世界で妙な意地を張って生きているのが、心底馬鹿馬鹿しくなってくる。
心が洗われる、とはこういう心境のことを指すのかもしれない。



やがて夢現つのぼんやりした脳内は、星空とアスランを結び付けるキーワードを導きだした。それはあの日、プラネタリウムで聞いた話し。
「もしかして…昔、お父さんに連れて来てもらったのって、此処?」
またしてもアスランからの答えは得られなかったが、それまでの無言とは意味が違っているとキラには分かった。

アスランはきっと否定しないことで肯定をしたにのだろう。
そして訊いたキラ自身、返事を求めていた訳ではなかったのかもしれない。確信していたから。


「どうして、僕をここへ連れて来たの?」
キラは星にの魔力に取りつかれたように、先ほどと同じ質問を繰り返していた。
「こういう場所だったら、素直に話を聞いてもらえるだろうと思ったからだ」
星空の癒しが功を奏したのか、それまでキラを占めていた激情から、漸く少し冷静さを取り戻したとアスランは判断し、今度はしっかりと答えを返す。
「そう」

キラ自身、落ち着いたのを感じていたが、不安が消えたわけではない。


アスランは何を話すというのだろうか。
知らない女と会っていた弁解なら、正直余り聞きたくはない。仮に僅かでもアスランにキラと結婚する意志があったとしても、女性問題は避けては通れないのだ。
それは最初から分かっていたことで、ならば後はキラの気の持ちようひとつということ。


それはとても哀しいことだけれど。




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