告白




◇◇◇◇


辺りには人の気配どころか灯りひとつない。
リゾート地だという仮定が正しければ今の季節ならシーズンオフということなのだろう。納得出来ないではないが、それにしてもこう暗くては、歩く足元すらおぼつかない。
何とか暗闇に目が慣れてはきてもアスランの姿は遥か先で、キラは転ばないように下を見たまま小走りに進む他なかった。

アスランは危なげない足取りで鬱蒼と草木の蔓延する、道とはいい難い道を迷いなく踏み分けて行くから、もしかしたら良く知る場所なのかもしれない。尤も都会で何不自由なくスマートに生きている彼には余りに似つかわしくない気がして、あらゆる可能性を想定してみたものの、どれもしっくりこなくて不思議だった。




「ぅ・わっ!」
俯いて、しかも考え事をしながら歩いていたせいで、いつの間にか立ち止まっていたアスランの背中にぶつかり、キラは思い切り額をぶつけてしまった。
何をしてるんだ?と馬鹿にするような視線には気付かないフリをして、服で擦れて痛むおでこを押さえながら辺りを見渡す。
あれだけ鬱陶しかった周囲の木々は既に無く、自分たちがちょっと小高い丘の上のような場所に立っていることを知った。

此処が連れて来たかった場所なのかとアスランへと視線を移すと、彼は更に上を指差しキラを促した。


「見てみろよ」
「え――、うわ!」



視界を埋め尽くしたのは満天の星。

空気が冷たく澄んでいる上、辺りに全く灯りがないせいか、普段目にする星空と同じものとは思えないほど美しい。



まるで宇宙に放り出されたような感覚にキラは酔いしれ、しばし息をするのも忘れて見入ったのだった。




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