告白




広い駐車場の敷地内。
二人が立っていた場所はかなり車から離れてしまっていて、腕を掴まれ引き摺られるように歩く間もキラは何度か逃走を試みてはみた。が、悔しいことに体格・力どちらをとってもアスランに負けているから、その何れもが失敗に終わり、結局キラは再び車に戻されてしまった。
逃亡防止のためか、すぐにショッピングモールの駐車場から出た車が、高速道路に乗ったのに気付いた時は、漸く落ち着き始めていた感情が今度は吃驚し過ぎて咄嗟に声が出なかった。




◇◇◇◇


「…………ねえ、何処へ行くの?」
強い意志の力で感情を押し殺したキラが尋ねたのは、もう小一時間ほど走った後だった。週末ではないこの時間、道は比較的空いていて、車はかなりのスピードを出したまま。寧ろ素早いハンドル裁きは、少々の混雑などモノともしないことを窺わせ、文字通り縫うように他車を追い越していく。まさか走行中の車からキラが飛び出すなどと思ってはいないだろうが、この速度で走り続ければ、いずれはかなり郊外まで進んでしまうのは間違いない。高速道路に乗った時点で多少遠方へのドライブになるのは諦めたキラだったが、段々不安になって来るのも無理はない状況だった。
窓の外を見てもただ夜の闇が続くばかりで、今どの辺りにいるのかも予測不能なのだから。



「話をしようと言ったろう?いいから黙ってろ」
その一方的で切って捨てるような言い方にカチンときた。
「は!?大体勝手に車に乗せといて、その返事ってどういうこと!?なんでそんな傍若無人!?」
「心配しなくても取って食ったりはしないさ」
「いい加減にして!」
しかしアスランはそれ以上伝えることはないとばかりに、プツリと押し黙ってしまった。取りつく島もないとはこのことである。
まぁ本当に殺されることはないだろうと、キラはかなりの努力で諦めをつけシートへと背を預けた。




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