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(夜景…か)
車窓を流れる景色を見るとはなしにぼんやりと眺めながら、ふと女から聞いた話を思い出した。


人工の星空にすらあんなに感動していたキラのことだ。きっと高層階から見下ろした水面に映る星空のような夜景も、さぞかし気に入ってくれることだろう。
実際キラが魅入られたのは、プラネタリウムの星々というよりも、アスランの瞳の方だったのだが、そんなことなど知る由もないアスランである。


早速手に入れた情報を活かすべく、あれこれと考えるだけでもアスランにとっては楽しいものだ。女と過ごした無味乾燥な数時間ですっかり下降していた気分が、少しずつ浮上していくのが我ながらゲンキンだと唇に笑みを刻んだ。夜景の情報を与えただけのつもりはなかっただろう女にも、感謝してもいいとさえ思うのだから、相当だと浮かんだ笑みが苦笑に変わる。



まさか女が勝手に出た電話の相手が、家人から番号を聞き出したカガリ・ユラ・アスハであり。

カガリを通じて余り知られたくない現状が、キラに伝わってしまっていることなど。




いくら頭の回転の早いアスランとはいえ、想像しろという方が無理は話であった。




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ここ暫らくは師事している教授の論文を裏付けるための実験の手助けをしていた。



キラが通う大学は国内では知らない者がいないほどの高名な学府であり、ましてやそこで教授として勤める人間の論文である。手助けするだけでも生半可な優秀さでは、到底勤まるものではなかった。



実験も一段落し、小休止を取ろうと、キラは俯けていた顔を上げた。凝った首を鳴らして、椅子に座ったまま後ろへ大きく背中を反らす。弾みで視界の先に窓越しの青空が入って、キラは体勢を戻すと外を眺めた。

冬晴れの澄み渡る空が、腹の底に押し込めた荒んだ思いを浄化してくれないかと、とりとめもないことが頭を過る。




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