「で?どうなった?」
キラの様子がおかしかった本当の理由がこの件ではないと薄々感付いていながらも、アスランは尋ねずにはいられなかった。
「うん。ウズミさまは僕とカガリのどっちを押すこともしないけど、余り猶予もないからのんびりしてる暇はないってさ。取り敢えず僕の気持ちは聞いておくから、あとはこちらの頑張り次第ってことなんじゃないかな」
「そうか」
ウズミが頭ごなしに反対しないのは、まぁ予想の範疇ではあった。
だからアスランが本当に訊きたかったのは、実はここからなのである。

「お前に頑張る意志はあるんだな?」
「そだね」

さも当然のように返って来た同意に、柄にもなく胸の辺りが熱いもので満たされた。が、それも一瞬で、直後に意味深長な発言をされて、またもや新たな疑問がアスランの頭を占めることになる。
「あ、でもきみがあんなんじゃ、無理かもね」
「…どういう意味だ?」


逡巡するように口を噤んだキラに、またもや黙り込まれるのかと思いながら、暫く回答を待ってみる。幸い幾らも待たない内に、しかし明らかに強がりだと分かる元気な声を出した。
「ふん。とぼけようったってそうはいかないからね。僕だってしょうがないってのは分かるけど、あまりコソコソしたやり方されると、逆に気になっちゃうから。それに流石に僕に失礼だとは思わない?」
「はあ!?」
面食らうというか勢いに押された形で、つられるように結構間抜けなリアクションを返してしまった。
キラの口調はあくまで呆れたようなニュアンスを含んでいたが、それにも妙な違和感を感じる。一体どんな顔をしているのか見たいと思ったものの、運転中ではそれも叶わない。


大いに戸惑ったアスランだが、幸いにもキラはその先を続けてくれるようだった。

「きみ先週、女の人と会ってたよね」
「!!」

間抜けな声のあとは絶句。
つくづく情けないが、キラの爆弾発言に、あからさまに動揺してしまったのだから仕方ない。

振り回されるアスランが可笑しかったのか、キラの声に悪戯っぽい笑みが混ざった。
「吃驚したでしょ。でもきみって、ほんとお盛んなんだね。知ってたつもりだったけど、その話を聞いた時は僕も驚かされたんだから、これでお相子だよね」




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