アスランにとってこんなことは、然程珍しくはなかった。

だから傷付けるような結果になるなどと、考えもしなかったのだ。




適当に選んだ女のショッピングに付き合い、その流れで食事をする。尤もこれまでならセックスも込みだったのだが、キラを手に入れると決めてからは、その他大勢の女と寝るなど有り得ないし死んでもごめんだった。
従って初めから食事の後は女を送って行って終わりのつもりだったのだ。女からしてみれば不満が残る内容かもしれないが、そこまではあずかり知らぬこと。

本来ならばつまらない女にかまけている暇があったら、あの可愛い顔をしているくせに到底一筋縄では行きそうもないキラを、いかにして自分に縛り付けるかと策を巡らせでもした方が、今のアスランにとってどれだけ有意義だろうと思う。しかし散々遊んで来た身としては、流石にあからさまに手の平を返すのも憚られたというだけのことだ。
だから高級ブランドものを買ってやったり、食事を奢るくらいなら幾らでも付き合ってやろう。想像を絶する退屈な時間だろうが、そもそも身から出た錆だ。とはいえそんな考え方も、キラから見れば酷く上から目線に映るのだろうが、アスランに誘いをかけてくる女たちの方だって、所詮こんなことは遊びの延長でしかないのである。



それに。
そんな“女たちのプライド”をまがりなりにも尊重しようとアスランが考えたのも、全てキラから受けた影響なのだという事実は、最早疑いようもなかった。

他でもないキラ自身がアスランを変えたのである。
薄々それを自覚しながらも、不思議と不快にはならなかった。




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