しかしカガリはそんなことはとるに足らないことだと言わんばかりだ。
「なんだ、そんなこともうどうでもいいんだよ!」
実際に彼女は“どうでもいい”と言った。言ってる意味が分からなくて、今度はキラの方が首を傾ける番だった。そんな様子に焦れたのか、カガリの語気は増々荒くなる。
「番号なんてあいつの実家へ連絡取って“許婚者だ”って名乗ったら、すぐ教えてもらえたからな!」

たった一言で挫けそうになった。

ザラ家では既にカガリがアスランの“許婚者”として通っていることがそれなりに衝撃だったし、キラの小さな意地は彼女にとってはそれっぽっちのものでしかなかったのだ。
その程度のものに縋っていた自分が馬鹿馬鹿しくなる。


しかしでは何故カガリはこんなに激昂しているのだろうか?
その疑問は敢えて口に出して尋くまでもなく、一方的にまくし立てるカガリによってすぐに知ることとなった。
「お前!いくらどうでもいい許婚者だったとはいえ、あそこまであいつに好き放題されて悔しいとかなかったのか?」
仮にも許婚者だ。どうでもいいわけではなかったのだが。それを今更彼女に言ったところで詮のないことだと嘆息する。
「好き放題って?」
「だってそうだろ?今日早速空き時間にあいつの携帯に電話したらさー!一体誰が出たと思ってんだ」
瞬間的に聞きたくないと思った。嫌な予感しかしなかったから。

余計な情報なんて欲しくない。でも聞かずには終わりそうもない場面だった。
「……誰がって、誰?」

「女だよ!気持ち悪いくらい媚びた口調で“だぁれ~?”とか言いやがって――」




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