最終的にそんな真摯な彼女らの心に応えられはしないのだから、やっはり遊びの延長でしかないではないかと詰られても、それはこれまでの自分の所業のせいだ。自業自得。
理解してもらおうなんてハナから期待してもいない。
ニコルの言うように、彼女らだってアスランのステディになりたいとか、ましてや結婚したいとか、そんな具体的なことは望んでないし考えてもいないのだから、寒々しい話だ。

ただステイタスが欲しければ、その望みだけならば、アスランにだって叶えてやることは出来る。




未だ戸惑いを隠せないニコルとは裏腹に、思わぬ僥倖に恵まれた女は、躊躇いもせずアスランの腕に腕を絡めてきた。
やっぱりな、と思う気持ちをポーカーフェイスの下へ押し込み、ついでにニコルの視線を無視して、アスランは女を伴って店を出たのだった。



見送ったニコルが、すっかりおとなしくなっていたディアッカに「貴方のせいですよ」と駄目押しの黒い微笑で言ったのを、自分が選ばれなかったことを口惜しがる女たちが気付くことはなかった。




◇◇◇◇


翌日。
キラはアスハ邸を訪れていた。


キラからのどうしても早急に会いたいという、珍しく必死な主張に驚いたのか、ウズミが時間を割いてくれたのだ。
大学の授業がある昼間の時間を希望したのは、キラの方からだった。この時間帯ならばカガリも大学に行っていて不在だろうという狡い計算が働いたためである。話す内容が内容なだけに彼女とは顔を合わせ辛いが、さりとて席を外して欲しいだなんて到底言えそうになかったからだ。

意気込んで乗り込んで来た割にどこまでも逃げ腰な自分に、こんなので本当にウズミに要求を伝えられるのかと不安が胸を渦巻いた。



と、待たされていた部屋のドアがノックされ、キラは座っていたソファから飛び上がりそうになった。何とか平静な声で応じると、やがて開いた扉から目的の人物が現れた。
「待たせてしまったかな?」
落ち着いた、独特の雰囲気。いつ見てもこの人が本当に自分の父親なのかと誰にともなく訊きたくなる。




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