興味




「だって…」
さてどうやって口を割らせようかと考えている内に、これまた意外にもキラの方から話し始めた。少なからず驚いたアスランだったが、ここで表情に出すほど愚かではない。
「プレゼントの仕方っていうの?すっごくスマートだったからさ。やっぱこういうのが、きみにとって普通なんだなって…思ったら、さ」
アスランは肯定も否定もしなかった。だが聞えているはずだ。
迷ったがキラは思い切って話してみることに決めた。
彼のことをそう思うように、自分のことももっと知ってもらいたい。

「もしも僕と、その…ケッコン?したとしても……。きみのそういう生活が、変わることはないんだろうなって」


チラリと見たキラは、相変わらずアスランと逆の窓の方を向いていて、表情は分からない。だが長めの髪から僅かに覗く耳が真っ赤に彩られていた。

たったそれだけのことに、アスランの鼓動は不規則に跳ね上がった。



「…てっきり俺のペースで事を運んだのを、怒っているんだと思った」
「それもあるけど。どっちかっていうと乗せられてた自分に気付いたっていうか。男の僕でこうなんだから、女の子ならそりゃ放っとかないだろうなって…少し―――」
キラは一旦言葉を切った。その先を言おうかどうかを更に迷ったのだ。

アスランがどんな顔をしているのか知りたかったが、振り向く勇気はもう絶対になかった。


「少し…先のことを考えて、虚しくなっただけ」




感情を一切殺すポーカーフェイスに定評のあるアスランだが、口元に浮かんでしまう笑みまでは止めることは出来なかった。キラが外方を向いてくれていて本当に良かったと思う。
だらしなくヤニさがった顔など見られないに越したことはないし、少なくともニヤけていていい場面ではなかった。




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