興味




「……服のお金。ちゃんと返すからさ」
例え元気はなくともキラはキラらしい。やはりそうきたかと思う返事に、用意していた言葉を返す。
「俺の好きでやったことだ。お前が金を払う必要はない」
「でも結果的に僕が貰ったことになるし。じゃあ服は返す」
「と言われても、お前の服を俺が着られるわけないだろう?」
「だけど…」
いつになく煮え切らない口調のクセに素直に受け取ろうとしないキラに、段々とアスランは苛立ってきた。
「おい!何がそんなに気に入らないんだ。言いたいことがあるならハッキリ言ったらどうだ」
さっきまでキラを心配していた自分はどこへやら、すっかり刺々しい言い方になってしまった。
だが何が幸いするか分かったものではない。流石にキラもこれには発奮されたようだった。
「別に!慣れてらっしゃるなって思っただけ!」

「――――は?」



元気になったのはいいが、余りに意外な発言に、我ながら間抜けなリアクションをしてしまった。イザーク辺りにやったら失笑されるに違いない。
しかし今はそういう自分的突っ込みをしている時ではない。
間を空けずに、キラが萎れていた原因を追及する必要があった。


売り言葉に買い言葉的発言の直後、キラは慌てたように掌で口を塞いて、プイと外方を向いていた。
彼にとっても予定外の失言だった証拠である。

「慣れてって…何に?」
「………………」
まただんまりだ。いつものアスランなら、無理強いしても嫌われるだけかと引く場面だが、どうせ相手はキラである。最初から自分の印象はすこぶる悪いのだから、それを心配する必要がないだけ気は楽だった。



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