興味




これ以上会話を続けていたらろくなことにならないと、キラはさっさとドアを開けて逃げるように車を降りることにした。確かに色々身体は辛かったが、アパートは目と鼻の先だ。こうなったら意地でも歩いてやる。
「それじゃ」
悲壮な決意を固めて慎重に歩き出したキラに、アスランが運転席から身を乗り出して声を掛けてくる。どうやら送るという主張は取り下げてくれたことには安堵したが。

「あ、キラ。ひとつ言い忘れたんだが」
「なに」
まだ車から2~3歩の距離しか離れてなかったから、まともにアスランの朝に相応しくない笑顔を見てしまった。
「金輪際、俺以外の男に服を贈られたりするなよ」
「どういう意味」
「男が服を贈る時の下心くらいは、言わなくても分かるだろ?」
「~~~~っっ!!!!」

瞬時に真っ赤になったキラが可愛くないことを言い出す前に、アスランは車を吹かした。停車していたコンビニの駐車場で車を回す。
「また、連絡する」
「ちょ―」
そのままキラの反論など聞く耳もたず、車は走り去ってしまった。
(言い逃げなの!?)
独り残されたキラは、赤くなった頬を鎮めようと、空を仰いだ。

今日は雨も降っておらず、見上げた青空には夏の気配。



(ばーか)

意外にも独占欲の強そうな発言をしたアスランに、口元が綻ぶのを止められそうにない。きっと自分もまた誘われればついて行ってしまうのだろうな、と妙な確信をしながら、やがて再びアパートへ向けて歩き始めた。

アスランに頼るのは回避できたが、とにかく身体が辛いのは真実だ。早く帰って休みたいと息を吐いたキラの鞄の中から、僅かな振動が携帯への着信を伝えてきた。
取り出して眺めた液晶に表示されていた名前は――


(カガリ…?)

ちょっと今は話したくない相手だと思ったが、まさか出ない訳にも行かないだろう。
キラは足を止めないまま、携帯の通話ボタンを押したのだった。




「はい、もしもし」





20110924




…長くてさーせんでした。
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