興味




「男がそんなとこ成長したら、間違いなく病院送りだな。俺が言いたいのはそういうことじゃなくて、せめて標準体重を目指せと言ってるんだ」
「た・体質なんだ。仕方ないでしょ」
「そんな台詞は人並みに食えるようになってから言うんだな」
アスランが“女のような柔らかさ”を求めているのではないのは分かった。では男にしては貧弱だと揶揄かうつもりなのだろうか。それはそれでキラのひそかなコンプレックスを刺激して、許し難いと反発した。
「きみは僕のお母さんなの?あの量で僕には充分で、別に不都合ないんだけど」
「お前の母親になりたいと思ったことはないが、不都合ならお前じゃなくて俺にある。現実問題痛いんだ」
アスランの声が深刻そうにひそめられ、釣られてキラも眉を寄せた。
「痛い?」
「抱いてる時。骨が当たる」
「ば―――!!」
咄嗟にアスランの胸板に腕を突っ張って身体を離そうとしたが、それ以上に抱き締める力を込められて、暫らくの攻防もあっという間にキラの負け。諦めて再び身体の力を抜いて、抱き枕代わりに甘んじる。
それにこうして体温を分け合うように抱き締めあっているのは、嫌いじゃないとキラの方も思い始めていた。内緒だが。
「ふ・普通にしてたら気にならないでしょ、そんなこと!」
「これからもずっと普通にしてるつもりはないから言ってるんだが」


一体この空気は何なのだろう。
呆れたキラは少し冷静になって考えざるを得なかった。
微妙に会話が食い違うのは毎度のことだが、今夜は勝手が違って困惑させられることがしばしば起こる。

「…―――それって…これからもこういうことをするってこと?」
「そうだな」

何度やってもこの行為が実を結ぶことはないのに?という疑問は敢えて口には出さなかった。そんなこと言われなくても分かっているだろうし、それでも構わないからアスランは肯定したのだろう。


それにしても一体自分の何がお気に召したのか。しかもキラもまんざらではない気がしているのだからもう手遅れだとも思う。
この幸福感はアスランに惹かれてしまっている証拠に他ならないからで。

それどころか。




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