興味




「……意外」
キラの髪に顔を埋めるようにして穏やかな気分を味わっていると、ポツリと胸元から声がした。
「何が」
「きみってもっと、こう、なんていうか…こういうことにはドライなんだって思ってた。ヤルだけヤッたら余韻なんかどうでもいいのかな~って」
そう言われても否定は出来ない。体の相性のいい女はこれまでにも何人かいたが、終わったあとまで離れがたいなどというのは初めてだ。
また違う自分を発見した。

しかしキラの方こそ最中はあれほどアスランを煽っておいて、正気に戻った途端この憎まれ口では、多少肩透かしを食った気分になっても仕方ないだろう。

アスランはキラを唯一無二の相手かもしれないと思い始めているのに、まだ何の価値もなくなった過去の女たちを意識している。名前すら覚えてないような女とキラでは扱いが違うのは、寧ろ当然のことだと思うのに。尤も自身でさえ驚く一面だ。キラに分かれというほうが無理でも、流石にその台詞はないのではないだろうか。
甘い睦言を期待していたわけではないが、想いが一方通行な気がしてきて、ちょっと苛めてやろうと思った。

「確かに…」
「?」
「こうやって抱き締めても、少々物足りないのは事実だな」
「!!」
それでも多少は素直になりかけていたのだろう。キラはアスランの辛辣とも取れる一言に、絶句して身体を固くした。無論、だからキラがつまらないなどと言ったつもりは、アスランには更々なかった。

「お前はもっと太れ」

一体何を言われるのだろうかと。ヤッてみたらやっぱり女の方がいいと言われるんじゃないかと一瞬緊張したキラの身体が、瞬く間に弛緩する。
同時に確か食事前にもそんなことを言われたのを思い出した。

でもそれが即楽観していい理由にはならない。


「太っても胸とかお尻が大きくなるわけじゃないんだけど…分かってる?」
おそるおそる窺うような質問に、また何を言い出すんだと、呆れたような口調が返って来た。




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