興味




「可笑しいというより…興味深いかな」
なのにアスランは例のどこか的外れな呑気さで、キラの照れ隠しの質問に律儀に答えてくる。またその答えが聞きようによっては気分の悪いものに受け取れるのだから、処置の仕様がない。
「き・興味ってどういう意味!?」
男と寝るとはどういうものかに興味を持って、キラを“お試し”に使ったのだろうかと、増々声が尖ったものになっていく。
それにもアスランは淡々と答えるのみだった。
「次々違う顔を見せるから、もっと知りたくなるっていうか…いや、ちょっと違うな」
怒る必要はなかったようだが、アスランの解答はキラにとっては難解過ぎて、唇を歪めるしかない。
それにアスランはチラリと意味深長な流し目を送ってきた。
「お前となら、自分の違う一面に気付かされるのが、面白いというのが本当のところかな」
説明不足も甚だしいアスランの呟きに、キラは更に不審げに眉をひそめるしかなかった。
「…―――きみ、何言ってるの?」
「ああ、心配するな。充分楽しませてもらったから」

「!!そんな心配、1ミリもしてないから!」


わざと使った直接的な表現が恥ずかしかったのか、必要以上に大声になったキラは今度こそアスランの笑いを誘った。クスクスといかにも楽しそうな笑いを零しながら、アスランは適当に手にした自分のシャツを彼に纏わせてやる。そしてそのまま薄い肩を引き、やや強引に胸元へキラを抱き込んだ。
梅雨寒の夜は季節が逆行するのではないかと勘違いしてしまうほど肌寒い。
正気に戻ったキラに腕を振り払われる可能性も考慮に入れてはいたが、身体が辛いからか、それとも一度高められた体温にこの気候は寒過ぎるのか、おとなしく収まってくれている。




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