興味




整わない吐息混じりの呟きに、妙な具合に体温が上かったのを感じる。乱れた息はそのままアスランが快楽を得ている証で、彼にそれを与えているのが他でもないキラ自身であること。

この胸の熱に名をつけるとすれば、それは多分“喜び”。



「……アス‥ラ・ン」
おそらくは馴染むまで動かずにいてくれているのだろうアスランを、キラは薄く目を開いて見上げる。瞬間、感情が瞳から涙となって頬を滑り落ちた。
その雫が身体の辛さや痛みから来るものでないことが、アスランにも痛いほど伝わった。

キラが美しく微笑んでいたから。



聖母のような微笑は、見ようによっては煽情的で。特にキラの中に侵入を果たしているアスランの雄の部分を強烈に煽る。
「…覚悟しろよ」
「え!?―――っ!あぁっ!!」
反射的な問い掛けに、答えはないまま始まった律動。
キラの思考も直ぐ様行為に引き摺られた。
「んっ!‥く・るし――っ」
何がそんなにアスランを駆り立てたのかは分からないが、途切れ途切れに苦痛を訴えてみても、もう彼が動きを止めることはなかった。
「お前が!煽る・のが悪い!!」
「煽っ・てんかな――や!ふかっ!!」
絶えずあがるキラの声と、彼の中の潤んで熟れかえった熱い粘膜に包み込まれ、アスランの本能はどんどん剥き出しにされていく。
さっき微笑んだ時とは違って本当に辛いのだろうが、眉間に皺を寄せた苦痛に歪んだ表情を見てさえもなお、止めるなどという考えは微塵も起きなかった。それどころか加虐心は刺激されるばかりで、キラの膝を更に抱え上げると胸につくほど折り曲げて、もっと先へと突き進んだ。

――――このまま、貪り尽くしたい。


ただ快楽を追い、蹂躙し、征服することが目的だけの動物的本能に支配されていた。




アスランは知らなかった。

これが『夢中になる』ということだったのだ。




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