興味




「ぼ・僕は…女の人じゃ、ない‥から」
「―――は?」

そんなこと、言われる迄もない。
というかこの状態では一目瞭然だと思うのだが…とアスランは僅かに首を捻った。発言の意図がまるで伝わってない様子に焦れたのか、キラはさっきよりやや強い口調で付け足した。
「お・女の人みたいに、綺麗じゃ‥ない、し!」
胸を突く、という言葉があるが、これにはアスランも本気で驚いた。
二の句の告げないアスランから何を感じ取ったのか、キラの口元が辛そうに歪む。
ことここに及んでと、アスランが小さく吹き出すのに、身を竦めるようにビクリと肩を揺らした。


「今更、何の心配してるんだ」
「…――だっ・て」
キラだって思わないわけはない。
アスランはそれこそ多くの女性を抱いてきたはずだ。その中には割り切った女の人も居ただろうし、そういう人はきっとこういう行為にも慣れていて、アスランを悦ばせることさえも容易に違いない。
そんなことを考えるだけでも引け目を感じるに充分な理由になる上、キラは男なのだ。同性のそんなもの、見たいと思うわけがない。

ならばいっそのこと、勢いのまま強引にことを運んで欲しかった。身体は辛いだろうが、男のこんな姿を見てしまったアスランが引くくらいなら、多少無理でも耐えようと覚悟を決めていた。
「…な、流してくれていいから!」
逃げる選択肢もまだ残ってはいるが、もうキラの身体も止めようのないところまできてしまっている。

だからアスランに、無理矢理にでも奪って欲しかったのだ。



「あのな…」
やっとキラの言いたいことが解ったアスランは、さてどうやってこの初心者に言って聞かせるのが一番効果的かを思案する必要があった。てっきり恥ずかしがっているだけだと思ったのに、それだけではなかったのだから。




19/32ページ
スキ