反抗




でも口でなんと言おうとも、アスランが人の温もりを諦めていないのも事実だと思う。ひょっとしたら本人も無自覚かもしれないが、そうでなければプラネタリウムへ通ったりはしないだろう。



急に口を閉ざしたキラをどう受け取ったのか、アスランは益々眉を寄せた。
「安い同情なら必要ない。それよりさっき“もう許婚者ではない”と言ったな」
「っ!!」
怒りに任せて言わなくていいことを言ったのかもしれないと、後悔しても後の祭りだ。
「それこそそっちの同意なくして成り立たないはずだ。ということは、お前も婚約解消に同意したってことだよな?」
「それは――…そうだけど!」
あっという間に形勢が逆転してしまった。まさかそう来るとは思ってなかったのだ。精々自分に興味を無くしたアスランに、言いたいことを言ったら終わるのだと思っていた。まともに相手にもしてもらえないのだと。
だが思わぬ展開に動揺するキラに対し、アスランは余裕で鑑賞して楽しんでいるかのようだった。
「まぁそれもムカつくが。それよりも何で婚約解消出来てホッとしているはずのお前が、そんなに激怒してるのか分からないんだが、訊いていいか?」
「………え~と…。そうだよね」
「くっ!」
堪らず、という様子でアスランが吹き出した。全く遠慮なしに思い切り笑われる。


「そ・そんな、笑わなくったって!」
「これが笑わずにいられるか。つまりはあれだろ?俺が移り気したのが、許せなかったわけだ。わざわざ敷居が高いはずのこの家にまで乗り込んで来る程度にはな」
「え!?」


「――――本当は嫌だったんだろ?婚約解消が」




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