反抗




だから二度目のキスはキラからだった。


関係の前進を目論んでいたアスランでさえ、このキラの行動には驚いて僅かに後退ってしてしまっだほどだ。

だがそれも一瞬で建て直し、直ぐ様攻守を逆転した。膝立ちの体勢から立ち上がり、キラの華奢な身体をソファの背に押し付ける。不自然なほど真上に仰向かされたキラが薄く唇を開いた隙に、滑り込ませた舌をキラの小さなそれに絡ませた。

「ん…」
どんどん深くなるキスに喘ぐ声は漏れたものの、抵抗する素振りは見せなかった。普段あれほど勝ち気で思い通りにならなくて、アスランを苛立たせるあのキラが、である。

支配していると感じた。

それがアスランの熱を呼び起こし、角度を変えるたび起こる水音と、時折耳に届くキラの甘やかな声が拍車をかける。そっと開いた瞳が細い首筋を捕らえ、噛り付きたい衝動が生まれた。


「―――え?ちょ・ア・アスラン!?」

アスランの唇が移動することによって皮肉にも喋れるようになったキラは、首筋をなぞる濡れた感触に狼狽した。
「黙ってろ!」
「そんな…無理―――っあ!」
緩く噛まれて背中が粟立った。飽きることなく丹念に続く首筋への愛撫に、全身が浮き上がるような浮遊感に苛まれた。

このままでは後戻りが利かなくなると焦る理性と、行くところまで行ってしまえと囁く欲望が激しくぶつかる。加えてそんな葛藤を遥かに凌駕する熱さ。
熱は灼熱のマグマとなって、気を許せば繋ぎとめようと足掻くキラの思考までも、絶えず突き崩そうとする。



程なく会話は途絶え、室内にはキラの喘ぎと二人分の呼吸が響くのみとなっていた。
キラはアスランから与えられる刺激に翻弄され、益々熱を上げられて、なすがままに身体をソファに預ける無防備な状態だ。キラをそんな風に変えたのが他でもない自分であることに、満足感と更なる征服欲がアスランを煽り続けた。



最早邪魔をするものは、何もないと思った瞬間だった。




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