混乱




星の巡りかはたまた月の引力か。原因は何でもいいが、何もかもが上手く行かない時というのは誰にもあるものだ。良かれと思ってやったことが裏目に出たり、一瞬のタイミングのズレで全てをフイにしてしまったり。
誰が悪いというのではなく、とりたてて追求するほどの原因もないのでは、改善の余地も見出せず、ただ上手く行かないことへのフラストレーションばかりが蓄積するだけだ。
有り体にいえば“苛々している”状態であり、それでは益々上手く行くものも行かなくなる悪循環。
こんな時はなにもかも放り出しておとなしく過ごすのが最適なのだろうが、資産家のザラ家の一人息子であり、見目麗しく成績優秀である彼を、周囲が放っといてくれない。特に女たちは、誘いを受けたアスランがどれだけ不機嫌な顔をしようとお構い無しなのだから、滅法強い。

とにかくここ最近はツイてないことの連続だった。
お抱え運転手とのちょっとした連絡の手違いから、父・パトリックの名代で出席することになっていたパーティには遅刻するし、必須科目だからと朝の弱いアスランが頑張って行ってみれば休講だったり。試験はつまらない計算ミスでトップの座を明け渡す結果になるし、グループでやるレポートは仲間の一人が要領が悪くて遅々として進まないしで、これで苛々しない方がどうかしているというものだ。
周囲の悪友どもがそんなアスランを、面白半分で気を遣っているフリをするのがまた苛立ちに拍車をかけていた。

そんなアスランの不機嫌をものともしないのだから、いつの世も女という生きものは最強だ。




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