一番目




「これはカガリ嬢。いらっしゃると知っておりましたらこちらからご挨拶に」
「お前!何で私のバースデーパーティに来なかったんだ!?」
「………………」

アスランの言葉など聞く気もないのか、あっさりと遮られてしまう。気分が悪かったが、今更だ。こいつらはこういう奴らなんだ。知ってただろう?


「勝手をしまして申し訳ございませんでした」
「お前の紹介も兼ねてと、父上も楽しみにしてたのに」
それこそ冗談ではない。妾の許婚者として恥を晒すなど、アスランのプライドが許さない。許婚者である事実はどうしようもないが、ならばパトリックの威光を傘に着たものではなく、自分の力で周囲を納得させてからの“お披露目”でありたかった。

「しかし…キラが行かないと聞いたもので、遠慮したのですが」
「キラ?」
意外そうにするカガリを逆に意外に思った。
「だってキラは関係ないだろう?」


これには驚きを通り越して呆れてしまった。
アスランを一個の人間として見ていないのは分かっていた。自分など、この先「名前ばかり名門でその実はただの貧乏人」と謗りを受けないための、札束にしか思われてないのだと。

だが彼らにとって“家族”であるはずのキラでさえ、そうだったのかと気付いたのだ。
妾の子供など札束を繋ぎ止めるための道具くらいにしか認識してないということか。


「大体あいつは卑屈だからな」
「……卑屈?」
「お父様がいなけりゃまともに生きて行くことも出来ないくせに、素直に受け入れられないっていうのか。私の誕生日パーティだって、一度も顔を見せたことはないんだぞ。あいつもさーお父様の血を引いてるんだ。何も恥ずかしがることなどないと思うんだがな」


この言い草には流石にムッとした。キラの肩を持つ訳ではないが、悪気がなければ許されるという類の発言ではない。




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