真昼の星




◇◇◇◇


「…――――何してるの?こんな所で」
刺々しいとまではいかないが、固い声が出る。間違っても「あれ~偶然だね!」なんて笑い合う関係ではないのだからしょうがない。

「…プラネタリウムに風呂入りに来る人間はいないと思うが」
対するアスランもキラ同様の固い声。少し前バイト中に聞いた、友達と話す彼の声はもっと穏やかな感じだったのに。

しかも会話が噛み合ってない。



「そうじゃなくて!きみは今日パーティに招待されてるでしょって言ってんの!!」
「ああ、俺まで呼んでもらって悪かったな。てかパーティは夜からだから、お前もこんな所でのんびりしてるんじゃないのか?」
「あ・そっか…」
行くつもりはなかったから、そこまで考えが回らなかった。確かにまだ昼だ。

「じ・じゃあ時間が空いたから、星でも見ようかってことになったの?きみが?一人で?」
変なことを言ってしまったフォローのつもりで慌てて継いだから、やや失礼になってしまったキラの発言を、別段気にする風もなくアスランは端的に肯定した。
「星は好きだ」
「はぁ…」
余りにもアッサリと返されて虚を突かれている間に、アスランはさっさとチケットを一枚追加購入すると、キラの前に差し出した。
「え?僕は別に観るなんて一言も…」
「じゃあお前こそ何でここへ来たんだ?知ってるとは思うがプラネタリウムに風呂はないぞ」

何で風呂?


というよりキラの方こそ本当にただ通りかかっただけだ。母との記憶が蘇り、懐かしくなって、入ってみようと思ったのも嘘ではないが、どうしてもというわけではない。

(それも、よりによってきみとなんて…)
気まず過ぎる。
だが買ってもらったチケットを突き返すのは、人としてちょっと出来そうになかった。




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