本音




それが有難かった。降り掛かった不運に、安い同情なんか欲しくはなかったから。

「気に入らないだと?ああ、その通りだ!人を見下しやがって!姫なんかじゃない!アスハの奴らは“二番目”どころか、俺に妾腹の、しかも男をあてがいやがったんだ!!」
「はぁ!?なんだ、ソレ!」
お調子者の友人であるディアッカの、驚愕し切った台詞。
「や~ん、有り得ない~っ!アスランくん可哀想~!」
続いて付いてきていた取り巻きの女達の甲高い声が上がる。他の男共も一様に驚きを隠しきれないといった雰囲気だ。
それはそうだろう。

アスランが一番驚いたのだから。


顔と名前もろくに一致しない女達が口々に騒ぎ立てる中、ディアッカは最初の衝撃が去ると、早々に気分を変えて酒をあおり続けるアスランに耳打ちしてきた。
「あの親父さんのことだ。決まっちまったことは中々覆えせないだろーが、なに、そんなに悲観すんな。幸い寄って来る女には不自由しねーんだから、適当にやりゃいいんだよ。お前の相手が出来るなら、遊びでも愛人でもオッケーって女はヤマほどいるぜ」
「そーよ!私でよければいつでも声かけてよ~!」
「ズルい!抜け駆け!?」
「あら、そういうことなら私だって!」
途端に同調する女達の牽制しあう醜い争いが開始される。その喧騒にかき消されてしまうような小さなイザークの呟きは、不思議とアスランの頭に残るものだった。


「アスハの“二番目”か。それはそれで興味があるな…」




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