序章
・
「で?その可哀想なお相手ってのはどちらのお姫さんなんだ?」
当然の質問にアスランの眉間に皺が寄る。
実はその相手にも理不尽なものを感じていたからだ。
「…アスハ家のキラという娘だ」
「へえ~流石パトリック・ザラだな。アスハっていや、王族とも血縁のある名門中の名門じゃないか」
「あれ?でもアスハの令嬢は確かカガリって名前じゃなかったですか?」
悪友たちは興味津々でアスランを見る。「可哀想なお相手」なんて言ってはいるが誰一人として気の毒がってなどいない。
それどころか完璧、面白がっているのだ。
始末が悪いことに。
憮然とした口調でアスランは答えた。どうせこの面子に隠しても仕方ない。
「妹だそうだ」
「いもうと~?聞いたことね~なぁ。そんなの居たんだ」
「でも仮にもザラ家の跡取りに“二番目”を差し出すなんて、アスハ家ならではですね。プライドが高くていらっしゃる」
容赦なく痛いところを突かれてアスランの表情が益々厳しいものになる。
今友人の一人が言ったように、アスランがこの縁談を気に入らない理由の一つはそれだった。
いつでも無条件で一番を手に入れてきた。
一番の成績。一番の容姿。そして一番の美女。
なのにここにきてあてがわれた“二番目”。
ただでさえ納得のいかない婚約者の登場なのに、これでアスランが諸手を上げて快諾など出来るわけがない。
これが会ってもいない婚約者に、初っぱなからいい印象など持てない理由だった。
・
「で?その可哀想なお相手ってのはどちらのお姫さんなんだ?」
当然の質問にアスランの眉間に皺が寄る。
実はその相手にも理不尽なものを感じていたからだ。
「…アスハ家のキラという娘だ」
「へえ~流石パトリック・ザラだな。アスハっていや、王族とも血縁のある名門中の名門じゃないか」
「あれ?でもアスハの令嬢は確かカガリって名前じゃなかったですか?」
悪友たちは興味津々でアスランを見る。「可哀想なお相手」なんて言ってはいるが誰一人として気の毒がってなどいない。
それどころか完璧、面白がっているのだ。
始末が悪いことに。
憮然とした口調でアスランは答えた。どうせこの面子に隠しても仕方ない。
「妹だそうだ」
「いもうと~?聞いたことね~なぁ。そんなの居たんだ」
「でも仮にもザラ家の跡取りに“二番目”を差し出すなんて、アスハ家ならではですね。プライドが高くていらっしゃる」
容赦なく痛いところを突かれてアスランの表情が益々厳しいものになる。
今友人の一人が言ったように、アスランがこの縁談を気に入らない理由の一つはそれだった。
いつでも無条件で一番を手に入れてきた。
一番の成績。一番の容姿。そして一番の美女。
なのにここにきてあてがわれた“二番目”。
ただでさえ納得のいかない婚約者の登場なのに、これでアスランが諸手を上げて快諾など出来るわけがない。
これが会ってもいない婚約者に、初っぱなからいい印象など持てない理由だった。
・