中学生
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
イマジナリーフレンド。もしくは夢の精。彼は私自身の作り出した空想の友人だと思っていた。まさか現実にいる人間だなんて夢にも思ってなかった。
「マイカ?マイカ?ねえマイカってば!」
しまった。ついぼーっとしちゃった。
レイラが心配そうな顔で私を見ている。
「夢の中で会ったって言ってたけど、さっきのやつに何かされたの?」
「ううん、なにも。お喋りしただけ」
ほんとに?って顔に書いてある。あーあ。レイラに心配かけちゃってるな。
「アメリカにいた頃なんだけど、たまに夢に出てきて私の話を聞いてくれた男の子がいたの」
ムクロん。あの頃はもうちょっとかわいい感じの男の子だったのに、背が伸びて男の人っぽくなってたな。人間だったんだ。
「夢の登場人物が存在してたってこと?」
「うん、ちょっとまだ信じられないけどね」
レイラは不安げな顔で運転席を見た。
「ユリは邪気を感じたって言ってた」
確かに、かっこいい青年だったけど爽やかとは言い難い雰囲気だった。
「夢に出てきた人物が実際に存在していた、ですか」
運転席のユリさんはミラー越しにちらりと私たちを見る。
「まあ、そういう能力を持った人間は少なからずいます。マイカ様はこれから紫雲の運営にも関わっていかれることになりますからそういう輩は避けた方が良いでしょうね」
「えー。いるんだ」
「紫雲の仕事の話はしたことないはず」
「流石ですね。紫雲のお屋敷でお休みされる場合は問題ないでしょうが、外泊される際は盛り塩をしましょうね」
紫雲の屋敷には悪しきものや災いを避ける結界がある。敷地にいる間は護られるけど、外に出るときは予防対策が必要、か。日本は安全な国だと思ってたのにまさかこんなところに危険があるなんて。
◇◇◇
精神世界でマイカが家名を名乗ることは一度もなかった。
しかし調べるのは容易だった。名前がわかっていて、双子で、大企業の跡継ぎ。これだけあれば充分だ。しかも彼女たちは身分を隠しているわけでもない。ボンゴレ10代目と同じ中学にいるのには驚いたが、彼女達が転入したのは9月。ボンゴレとの関係はあっても浅いだろう。
紫雲家。マイカからそこそこ大きな企業とは聞いていたが、思っていたよりも絶大な力を持つ家であった。姉のレイラも想像していたより美しく妹思いな娘だった。わがままで世間を知らなそうではあるが、はっきりした物言いは好ましく感じた。レイラはマイカの悩みの話から切り崩して行こうか。美しい良家の娘、それだけで利用しがいがある。マイカは次期当主だ。利用価値なんて言わずもがな。どちらかを口説き落としてもいい。いずれ彼女達を乗っ取る。その次は当主、それから各界の著名人。
彼女たちさえ手中に収められれば僕の夢は容易く叶う。
だが、まずはマフィアだ。
ボンゴレ10代目をおびき出す計画はまだ始まったばかり。
早く当たりが出ることを願おう。