中学生
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次の日紫雲さんと声をかけたら、2人同時に振り向いた。名前で呼んでって言ったのにと残念そうな顔をされる。ごめん。2人はおはようと挨拶をしたら笑顔で挨拶を返してくれた。
昨日家に帰ってオレと獄寺君は少し作戦を立てた。山本は部活で来れなかった。親しくなるにはどうすれば良いか。とにかく話しかけるしかない。
ところが声をかけてもすぐに他の女子に呼ばれていってしまう。囲まれてしまうとなかなか話しかけられない。
そこで、作戦2だ。
比較的仲の良いと思われる黒川から2人の情報を引き出す。
「レイラとマイカの好みの男?」
あんた京子はどうしたのと顔に書いてある。違うんだ黒川、別にオレあの2人が気になるわけじゃないんだ。
「まだそんな話までしてないわよ」
「そっかあ」
そりゃあそうかも。まだ転校してきて1週間と経ってないし。普段女子たちがどんな会話してるのか知らないけど。
黒川は「まあ、それとなく聞いといてあげる」と言って手をひらりと振って京子ちゃんの元へ戻っていった。
「後は黒川からの情報待ちっすね」
「そうだね、とりあえず待とうか」
そう上手くいくだろうか。好みのタイプがオレたち3人の中にいない場合は他のプランを考えなければならない。
「おはよーっす、ツナ!獄寺!」
「山本!おはよう!」
山本に教えていなかったので軽く昨日立てた作戦の話をした。「なんだよ、ガンガン話かけりゃよくね?」山本ってそういうやつだよね。
「おーい「ちょっと待って山本!」なんだよツナ」
「なんて言って話しかけるつもり?」
「考えなしに行動すんじゃねえ!!野球バカが」
「なにって普通にだろ」
これが山本のコミュ力の高さとオレと獄寺君の差なのか。
午前中の進捗はそこまでだった。
そして昼休み
「てかさ、黒川に聞かなくてもヒバリに聞けばいいんじゃね?」
仲良さげだったじゃん、という山本の一言で昨日の昼休みの事を思い出した。オレも忘れていたわけじゃない。ただ、ヒバリさんより黒川に話しかける方がラクだなという考えに至ったのだ。
「そもそも親しくなるって別に好みの男とか関係なく友達になりゃいいだろ」
「わかってるよ、ただ今後のことを考えてどう接していくか慎重に考えようってことになったんだ」
「そういうことなー」
山本はパックの牛乳を飲み干して、パックを潰した。
「ま、オレはタイミングみて話しかけてみるぜ!」
「オイ!野球バカお前話聞いてたか?」
「聞いてた聞いてた。とりあえず、昼休みの間にヒバリんとこいこーぜ。レイラとマイカ今日は笹川たちと飯食ってたからヒバリとはいないはずだ」
や、山本目ざとい。そして行動力がすごい。
「ヒバリさんとこ?咬み殺されるだけじゃないかな」
「群れなきゃいいんだろ?」
とりあえず行こーぜと山本はニカっと笑った。
とりあえず、というわけでオレ達は応接室前の廊下までやってきた。群れたら咬み殺されるので、誰がいくかという話になる。
「言い出しっぺのオレがいくわ」
「いや、お前じゃ任務を確実に遂行できるか心配だ。オレがいく」
「ここはボスであるお前が行け!!」
「ふげっ、!!」
リボーンが現れ頭を蹴られた。いってー…。立ち上がると、蹴り飛ばされた先が応接室のドアの目の前だった。そうだ、ヒバリさんが居なければ咬み殺されずに済む。居ませんようにと祈りながらノックをした。
ノックし終わる前にドアが開く。
「なんの騒ぎだい?ここがどこかわかって…赤ん坊」
「ちゃおっすヒバリ」
「ヒバリさん居たー!!!」
「何か用かい」
「ツナからヒバリに聞きたいことがあるらしいぞ」
ヒバリさんがリボーンからオレに向き直る。こ、怖ぇでもリボーンも怖い。
「あ、あの…」
ヒバリさんは意外にも話を聞いてくれた。群れてなければ会話は成立するようだ。
「ふぅん、あの双子と親しくしたい、ね」
「何卒アドバイスを頂けると、た、助かります」
ヒバリさんはソファに尊大に座っている。オレは手汗が止まらなくてズボンを掴んだ。
「間違っても惚れないことだよ」
「はい?」
ヒバリさんは優雅に足を組み替えながら言う。
「容姿に騙されてあの双子に夢中になる奴らが腐るほどいるけど、見た目に惑わされないことだ。思わせぶりな態度を取られても好かれているなんて勘違いしないことも重要だ」
「ヒバリさん?」
「あの2人は天使の見た目をした悪魔だよ」
ヒバリさんは真面目な顔でそう言い放った。
「もう昼休み終わるよ、咬み殺されたければここに残るといい」
「いっいえ!教室に戻らせて頂きます!ありがとうございました!!失礼しますっ」
オレはヒバリさんに頭を下げてから応接室を飛び出した。廊下の角で獄寺君と山本と合流する。
「ヒバリなんだって?」
「惚れるなって」
「どういうことっすか?」
「双子は悪魔だって…」
なんか、よくわかんなくなっちゃったや…。
◇◇◇
ツナが飛び出していった応接室の中途半端に開いたドアをヒバリがため息をつきながら閉める。
「で、赤ん坊。ここに残ったってことは僕と闘ってくれる気があるのかな」
「闘うのはまた今度な」
「つまらないな」
「双子のことずいぶん大事にしてるみてえじゃねえか」
「バカ言わないでくれるかい。僕は小動物たちの心配をしてやってるんだ」
ヒバリはニヤリともしない。本心のようだ。
「双子とはどういう関係だ?」
「あの子達の家とは懇意にしていてね、昔からの知り合いさ」
「なるほどな、幼い頃からの仲ってわけか。どういう出会い方したらあんなに双子に懐かれるんだ?」
「出会ったときのことなんて、忘れたよ」