中学生
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「ねえ!きょーやくん!」
「何」
「どうして公立中学って空調ないの?」
残暑厳しい9月。転入2日目にしてレイラが教室が暑いと弱音を吐く。空調管理ばっちりで育てられたお嬢様には堪えたようだ。だからって堂々授業サボって応接室に来るな。マイカはちゃんと授業出てるだろ。
「ここばっかり涼しくてずるいよ!教室にも空調つけてよ!」
「は?応接室にはあるからいいんだよ」
「お金出すから(パパが)」
その一言で僕は業者に連絡を取った。
「紫雲か…まさかな」
昨日教え子のクラスに転入生がやってきた。世界に名だたる企業を経営する一族の苗字の女子生徒が2人だ。本当に紫雲の関係者なら、ちょうどコネクションが欲しいと思っていたところだ。
消火栓から、転入生の入っていった応接室を見張る。ヒバリと話し合えた転入生が出てきたところで、オレも消火栓から出た。
「ちゃおっす」
「ちゃおっす?あ、アルコバレーノ?」
「アルコバレーノのこと知ってんのか」
転入生はいきなりオレの正体の確信をついてきた。
「うん。はじめまして。わたしは紫雲レイラ。よろしくね」
そう言って悠然と微笑んだレイラは右手を差し出した。その微笑みに、既視感。アルコバレーノを知っているなどただの中学生ではあり得ない。意趣返しに握手のつもりで差し出された手に口付けをすると華やかな美貌の少女は少し目を見開いた。やはり、この顔を見たことがある。
「オレはリボーンだ。よろしくな」
「あ、うん」
幼なけれど甘い声にも聞き覚えがありすぎた。顔も声も微笑み方もかつて社交界で名を馳せ、紅薔薇と謳われた女そっくりだ。
「お前、紅薔薇の娘か?」
「紅薔薇はわたしたちのおばだけど」
「そうか」
紅薔薇がおばなら父親は…。思わずニヤけそうになる顔を余裕のある笑顔で隠し、レオンを撫でる。
「レイラ、今日昼飯どこで食うか決めてるか?」
「お昼はマイカと教室かな、暑かったら応接室に来るかも」
「屋上に来ねえか?今日は風があるから涼しいぞ」
「そう?考えとくね」
来るとは言わねえか。まあいい、ツナ達に話す方が先だ。
ちょっと暑いけどオレ達は今日も屋上で弁当を広げた。2日目からフルで授業、しんどいなぁ。科目によっては夏休み明けテストだし。あっ、弁当唐揚げ入ってる。
「お前たち、揃ってるな」
「うわ、リボーン!!」
「よっ、小僧」
「話があるぞ」
リボーンの話…絶対いい話じゃないよ。聞きたくねー。
「な、なんだよ」
「お前たちのクラスに来た転入生だがな、紫雲の直系の娘たちだ。」
「紫雲ってやっぱりあの紫雲っすか!?」
「そうだぞ」
「ちょっ、ちょっと待って。紫雲って?」
「世界に名だたる大財閥だ。車メーカーとか建築とか食料品と宝石とかなんでもござれのな」
「へぇー、そういや聞いたことあるかもな」
山本が米を口に運びながら言う。オレも音だけなら聞いたことのある企業名だとふわっと思い出した。
「で、その紫雲の子たちがなんなの?まさかファミリーに入れるとか言うんじゃ」
「そりゃ入ってくれりゃ嬉しいが、難しいだろな。あの双子は現当主が大事に育ててきた娘達だ。それに表じゃ紫雲が圧倒的に格上だしな。」
「へえ、お前がそんな感じだなんて珍しいな」
「そこでだ、この中の3人のうち誰でもいい。あの双子のどちらかと親しくなれ。向こうから惚れたりしてくれればなお良しだ。」
「ええー!!?それってファミリーに入れるより難易度高くない?」
ダメツナのオレが可愛くて転校早々人気者の2人と親しくするなんてムリ!モテる山本と獄寺くんならもしかしたらいけるかも?
「10代目のお人柄ならきっと大丈夫っす!早速呼びつけましょう!」
「いやムリムリ!向こうはオレなんてこれっぽっちも興味ないって!」
「ダメツナが、そう言うと思って屋上に来るように声かけといたぞ。もしかしたら来るかもな」
もう、手、回してあんじゃん…。やっぱお前怖いよ。本当に来たらどうしよう。なんて声かけたらいいんだ?はじめまして、ボンゴレ10代目ですって?いや、ムリ。そもそもオレマフィアじゃないし。オレがもんもんと考えていたら屋上の扉が開いた。思わず肩が跳ねる。山本も獄寺くんもリボーンも一斉に扉の方を向いた。
「学校の屋上入るの初めて!」
「まったく…わざわざ屋上に来なくても応接室でよかっただろ」
「たまにはいいんじゃないかな。お日様の下でお弁当食べるの」
そこには転入生2人に挟まれたヒバリさんがいた。ヒバリさんはオレ達を見て目を見開いた後、思いっきり嫌そうな顔をした。すみません。群れてて。お願い咬み殺さないで…!
「ちゃおっすレイラ、よく来たな。ヒバリとマイカも」
「この子がレイラが言ってたアルコバレーノのリボーン?初めまして〜」
「よろしくなマイカ」
転入生の1人がリボーンに近づいて挨拶をしている。転入生が差し出した手にキスするリボーンを見て食べてた卵焼き吹きそうになった。もう1人は入り口で固まったヒバリさんの袖を引いている。待って、転入生とヒバリさんって仲いいの?
思い返せば先生がやたら転入生に対して低姿勢だった。ヒバリさんと仲良いから?お金持ちの娘だからか?
「…応接室戻る」
「えっ」
むすっとしたヒバリさんが踵を返す。そりゃそうですよね。ところが転入生がヒバリさんの腕を掴んだ。あの子咬み殺される!と言う心配をよそにヒバリさんは立ち止まった。もう1人も駆けつけて腕を掴んだ。
「せっかくここまでお弁当持って階段登ったんだからここで食べようよ」
「いやだ。僕は群れない」
「もう手遅れだよ」
「君たち屋上に腰掛けたらスカート汚れるよ」
意地でもいやだと言う姿勢のヒバリさんを転入生達が説得しはじめた。ヒバリさんスカートの心配とかするんだ?それに対し「大丈夫」と転校生が答えるとどこからともなく黒いスーツの女性が現れ屋上にレジャーシートを引いて、紫雲さん達に頭を下げて消えていった。え?今の何?誰?
「今のは紫雲のSPだな」
さすがお嬢様。リボーンはさりげに心を読むな。
「ほら、準備完了」
「…………」
「ね、恭弥くんいいでしょ」
なんと、ヒバリさんが折れた。オレ達は信じられないことに同じ空間で食事をとっている。
あの後、ヒバリさんは双子に腕を引かれてレジャーシートに腰を下ろした。オレ達に背を向ける格好で。紫雲さん達は「同じクラスだよね」と話しかけてくれて自己紹介をした。名前で呼んでいーよと許可までもらった。
でもそこまでであまり会話はできなかった。なぜならヒバリさんが不機嫌そうにオレ達を睨むから。リボーンはヒバリさん達を見ながらずっと何かを考えこんでいた。もう今日はムリです家庭教師さま。
「恭弥くん卵焼き交換しよ」
「好きにすれば」
「じゃあレイラもー」
「君たちの卵焼き同じのだろ」
仲、良さげだな……。
その日の夜、紫雲家にて
「接触してきたね。アルコバレーノ、あとボンゴレ」
「ね、10代目候補ってあのツナって子でしょ」
「意外な感じだよね」
「うん、でも…
からかいがいありそ♡」