藍風
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風が髪をさらう。
わたしのも、前を歩く骸のも。視界を阻む髪の毛をかき分けて必死についていく。なにもこんな日に出掛けなくてもいいのに。そういうわけにはいかないか、犬に任せたら食料が駄菓子になっちゃうし。
「……ぁ」
強い風に服が巻き上げられて、ちらりと骸の腰が見えた。生白いけど、男っぽい背骨まで。普段隠された場所にどきりとした。今日の風はいろいろ暴きすぎる。この服を選んだことを後悔しながら、翻るスカートを押さえた。
「何してるんですか」
「…歩きづらくて」
いきなり振り返った骸に、別に見てないしって言いそうになった。骸は呆れたようにわたしを見下ろす。スーパーに行くだけなのにわざわざおしゃれしてこなくてもよかったよねって言えば骸は意外そうに笑った。
「いいんじゃないですか。せっかくのデートです」
「デート……」
「それに」
骸の大きな手が、長い指が、わたしの乱れた髪に触れる。頭を撫でるようにされて少し目を閉じれば、耳の後ろをすかれた。骸の手が離れて「ほら」と目の前に差し出されたのは、
「花びら?」
「髪飾りのようでしたよ。今日の服にお似合いのね」
髪も服も風でぐちゃぐちゃなのに、その風が運んできたらしい花びら。淡色のそれは風に乗って骸の手から去っていく。骸は空いた手に代わりにわたしの手を握った。
「しっかり歩いてくださいよ。僕はお腹がすきました」
「えっ、ちょっとまって」
慌てて手を握り返して隣に並んだ。歩幅を合わせてくれる骸と一緒に歩く。スーパーまでの、色気も何もない道。
ワンライに参加させていただいた時のものです。
お題「いたずら」
わたしのも、前を歩く骸のも。視界を阻む髪の毛をかき分けて必死についていく。なにもこんな日に出掛けなくてもいいのに。そういうわけにはいかないか、犬に任せたら食料が駄菓子になっちゃうし。
「……ぁ」
強い風に服が巻き上げられて、ちらりと骸の腰が見えた。生白いけど、男っぽい背骨まで。普段隠された場所にどきりとした。今日の風はいろいろ暴きすぎる。この服を選んだことを後悔しながら、翻るスカートを押さえた。
「何してるんですか」
「…歩きづらくて」
いきなり振り返った骸に、別に見てないしって言いそうになった。骸は呆れたようにわたしを見下ろす。スーパーに行くだけなのにわざわざおしゃれしてこなくてもよかったよねって言えば骸は意外そうに笑った。
「いいんじゃないですか。せっかくのデートです」
「デート……」
「それに」
骸の大きな手が、長い指が、わたしの乱れた髪に触れる。頭を撫でるようにされて少し目を閉じれば、耳の後ろをすかれた。骸の手が離れて「ほら」と目の前に差し出されたのは、
「花びら?」
「髪飾りのようでしたよ。今日の服にお似合いのね」
髪も服も風でぐちゃぐちゃなのに、その風が運んできたらしい花びら。淡色のそれは風に乗って骸の手から去っていく。骸は空いた手に代わりにわたしの手を握った。
「しっかり歩いてくださいよ。僕はお腹がすきました」
「えっ、ちょっとまって」
慌てて手を握り返して隣に並んだ。歩幅を合わせてくれる骸と一緒に歩く。スーパーまでの、色気も何もない道。
ワンライに参加させていただいた時のものです。
お題「いたずら」
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