3年目のほんとう
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すきになったのはいつだったかな。
はじめて話したのは、一年生。保健委員だった私は、ボクシング? ケンカ? で怪我をした彼の手当てを手伝った。遠慮なく!と強調されて消毒液をぶっかけた記憶がある。やっぱり痛かったみたいで叫ぶ彼にちょっと罪悪感を感じた。ぺたりと大きな絆創膏を貼ったとき、彼は。
「極限に感謝する!」
顔の傷が引きつって痛いだろうに笑顔でお礼を言ってくれた。何にも言わない相手?の男子にもお礼を言えと言っていたからいい人なんだろうなって思った。
二年生で同じクラスになった。私の名字を呼んで、「あの時は世話をかけたな!」と言ってくれた。私が保健委員だったのは一学期だけだったのに覚えていてくれたのがうれしかった。いい人だなって。
体育祭でA組の代表を務めた笹川くんの熱さとか、忘れられない。
三年生で、またクラスが離れた。
放課後、教室でクラリネットの練習をしていると笹川くんが忘れ物を取りにやってきた。
「おお!吹奏楽か、いいな!今度試合の応援にきてくれ」
え、行きたい。ちょっと手を挙げた。でも、パートリーダーの子が「何言ってんの」と断ったのを見てその手をごまかすようにクラリネットを握った。今思えば、最後のチャンスだったかもしれないのに。
私たちはコンクールの地区大会で予選落ち。夏休みに部活を引退した。
「えっ、入院?」
「うん」
「風紀委員の人たちだけじゃないの!?」
みたいだね、と彼氏が入院してしまった友達が言う。
友達について、わたしも病院に向かった。
病院のにおいがする。太陽みたいな笹川くんがこんなところにいるなんて信じられなかった。
こっそり。笹川くんの病室をのぞくと、女の子と仲良さげに話していた。笹川くんと同じクラスの、空手部主将の子。
笹川くんは熱くてうっとおしがられることも多いけど、いい人だから友達は多い。……ずきん。胸が痛む。私は今、笹川くんとほぼ接点がない。
そうしていたら、話を終えたらしい女の子が病室から出てきて、思わず肩を縮めてうつむく。颯爽とした様子はまるで私とは違ういきもののよう。すれ違う際に、いい香りまで残してく。
ふいに、ぽんと優しく肩をたたかれて、顔を上げる。「行ってやれは? 暇そうだったよ」彼女は背筋と同じようなまっすぐな目で私を見てそう言った。その言葉に肩を押された。
「えっ、何してるの笹川くん……」
「ふんっ ふんっ 見てわからんか?トレーニングだ!!リハビリだけでは足りなくてな」
「ええ…」
まだやめといた方がいいと思うな。遠まわしに伝えようか迷ったけど、私と話そうとこっちを向いてくれた。
「見舞いに来てくれたのか?クラスが離れたのに来てくれるとは」
やはり優しいな! にかっと歯のない笑顔を見せた笹川くんは、病室の中でも太陽みたいに輝いて見えた。
「どうしようすきかも…」
「知ってた」
「うそ」
「笹川には言わなきゃ絶対伝わらないよ」
「そ、そんなこと」
「うちら今年卒業だよ。高校違うかもよ」
「え」
「言え」
「え、無理」
「とりあえず笹川の試合見に行く?」
「うん」
ワンライに参加させていただいた時のものです
はじめて話したのは、一年生。保健委員だった私は、ボクシング? ケンカ? で怪我をした彼の手当てを手伝った。遠慮なく!と強調されて消毒液をぶっかけた記憶がある。やっぱり痛かったみたいで叫ぶ彼にちょっと罪悪感を感じた。ぺたりと大きな絆創膏を貼ったとき、彼は。
「極限に感謝する!」
顔の傷が引きつって痛いだろうに笑顔でお礼を言ってくれた。何にも言わない相手?の男子にもお礼を言えと言っていたからいい人なんだろうなって思った。
二年生で同じクラスになった。私の名字を呼んで、「あの時は世話をかけたな!」と言ってくれた。私が保健委員だったのは一学期だけだったのに覚えていてくれたのがうれしかった。いい人だなって。
体育祭でA組の代表を務めた笹川くんの熱さとか、忘れられない。
三年生で、またクラスが離れた。
放課後、教室でクラリネットの練習をしていると笹川くんが忘れ物を取りにやってきた。
「おお!吹奏楽か、いいな!今度試合の応援にきてくれ」
え、行きたい。ちょっと手を挙げた。でも、パートリーダーの子が「何言ってんの」と断ったのを見てその手をごまかすようにクラリネットを握った。今思えば、最後のチャンスだったかもしれないのに。
私たちはコンクールの地区大会で予選落ち。夏休みに部活を引退した。
「えっ、入院?」
「うん」
「風紀委員の人たちだけじゃないの!?」
みたいだね、と彼氏が入院してしまった友達が言う。
友達について、わたしも病院に向かった。
病院のにおいがする。太陽みたいな笹川くんがこんなところにいるなんて信じられなかった。
こっそり。笹川くんの病室をのぞくと、女の子と仲良さげに話していた。笹川くんと同じクラスの、空手部主将の子。
笹川くんは熱くてうっとおしがられることも多いけど、いい人だから友達は多い。……ずきん。胸が痛む。私は今、笹川くんとほぼ接点がない。
そうしていたら、話を終えたらしい女の子が病室から出てきて、思わず肩を縮めてうつむく。颯爽とした様子はまるで私とは違ういきもののよう。すれ違う際に、いい香りまで残してく。
ふいに、ぽんと優しく肩をたたかれて、顔を上げる。「行ってやれは? 暇そうだったよ」彼女は背筋と同じようなまっすぐな目で私を見てそう言った。その言葉に肩を押された。
「えっ、何してるの笹川くん……」
「ふんっ ふんっ 見てわからんか?トレーニングだ!!リハビリだけでは足りなくてな」
「ええ…」
まだやめといた方がいいと思うな。遠まわしに伝えようか迷ったけど、私と話そうとこっちを向いてくれた。
「見舞いに来てくれたのか?クラスが離れたのに来てくれるとは」
やはり優しいな! にかっと歯のない笑顔を見せた笹川くんは、病室の中でも太陽みたいに輝いて見えた。
「どうしようすきかも…」
「知ってた」
「うそ」
「笹川には言わなきゃ絶対伝わらないよ」
「そ、そんなこと」
「うちら今年卒業だよ。高校違うかもよ」
「え」
「言え」
「え、無理」
「とりあえず笹川の試合見に行く?」
「うん」
ワンライに参加させていただいた時のものです
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