中学生
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7月末、夏休みに入り登校してくるのは部活動のある生徒くらいで不良たちも遅刻してくるやつもいない。咬み殺す対象がいない僕は暇を持て余し屋上で昼寝をしようとしていた。真夏でも風のある今日はまだ日陰のコンクリートは冷たい。
「ふぁ…」
良い風が吹く。なんとか眠れそうだ、と思ったところで携帯が鳴る。メールの着信音だ。まどろみ始めで起こされ大変腹が立ったので、送信したやつを咬み殺してやろうと携帯を開いた。送信者は 紫雲レイラ。
「……………」
彼女は雲雀家と懇意にしている家の娘で、咬み殺すと後がとても面倒なことになる。レイラからのメールなんてロクな内容でないだろうし、正直開きたくない。見なかったことにして寝よう、そうだついでにマナーモードにしてしまえ。八つ当たり対象を失った僕にまたメールが届いた。送信者はまた紫雲レイラ。
何の用だ。仕方なくメールを開く。
『迎えに来て』
…何処に?人に頼むにしても色々足りない情報がありすぎる。2件目の内容は『ねえ、まだ?』だった。立ち上がって、制服についた砂をはらう。
3件目のメールが届いた。『マイカもいるんだけど』違う、迎えに行くのに僕が欲しい情報はそれじゃない。屋上から校舎に入り、階段を降りる。メールを打つのが面倒になった僕は電話帳を開いて彼女の名前を探し、通話ボタンを押した。
「おっそーい!待ちくたびれちゃった」
「おっそーい、じゃないよ。急に呼びつけといて。来るなら先に言いなよ」
結局彼女たちがいたのは並盛駅だった。駅近くの喫茶店でお茶をしながら僕を待っていた2人が僕を見上げる。レイラがソファー席のど真ん中から少し奥にずれたので横に座ると、店長が慌てて僕の分の水を運んできた。
「ごめんねぇ。日本に帰ってくるのも黙ってたから、せっかくならギリギリまで内緒にしてびっくりさせようかなって」
向かいの席のマイカがミルクティーをストローでかき混ぜつつ、全く反省していない顔で笑う。レイラとマイカは7才からアメリカに留学していて日本に帰ってくるのは正月と盆と家の用事があるときくらいだ。あと僕の誕生日にもわざわざ帰ってくる。そういえばこの時期に帰ってくるのは珍しいな。
「今年は帰ってくるの早かったね。」
「うん、もうあっちで勉強したいことはだいたい終わらせちゃったから」
「留学は終わり!これからは日本で義務教育を受けるの。恭弥くん何頼む?」
「へえ」
彼女達を預かる中学は大変だろうなと他人事のように考えながら、レイラの開いたメニュー表を見る。昼もついでに済ましてしまおう。昼時なのにこの喫茶店は僕が顔を出した時から貸切状態である。あ、ハンバーグがある。
「そういうわけだから、わたし達」
「「9月から並盛中学に転入するね!」」
「は?」
メニュー表から顔を上げる。似ていない双子がおんなじ笑顔で僕を見ていた。
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