平和な10年後
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「つなよしくん聞いてよ!恭弥がひどいの!」
「……はい?」
いつものことであるが山積みの書類にうんうん唸りながら仕事をしていたオレは、ほとほととドアの叩かれた音に顔を上げた。招き入れれば珍しいお客さん。ヒバリさんの奥さんだ。
「恭弥ね、いじわるばっかりするの」
そう眉尻を下げて悲しそうに言う彼女はオレから見てもとてもかわいい。守護者の、ましてやヒバリさんの奥さんによこしまな気もちなんてないけど。こわいし。
「それでケンカして出てきちゃったんですか」
「そうなの」
「何がきっかけだったんですか?」
「なんかね、ひき肉をハンバーグじゃなくてそぼろにした時から機嫌が悪くなってたんだけど…それから三日もむすっとしてるし、わたしのスマホ高いところに置くし、わたしのきらいなものばかり夕飯にリクエストしてくるし」
「えええ(あのひと大人気無っ!)ひどいですね…」
「ひどいでしょ。ちゅーもはぐもしてくれないし、わたしからしようとすると避けるの!もう我慢の限界よ!」
「それはそれは大変でしたね」
オレは何を聞かされているんだろう。のろけ?のろけじゃないこれ?新婚さんのほのぼのした喧嘩じゃん。
彼女を落ち着かせるために話を聞いているとオレの私用電話が鳴った。背筋に悪寒。この感覚は…。
「はいもしもし?なんだよ珍しいな、骸」
『お久しぶりです。沢田綱吉。雲雀恭弥の妻そっちに行ってませんか?』
「え?ああ来てるけど」
『丁度うちからそちらに着く頃合いだと思いまして。雲雀恭弥がうちで大暴れして出ていきましたと伝えてください』
「骸んとこ行ったんですか?」
驚いて見れば、うん、と細顎が降られる。彼女は体の後ろで手を組んで、受話器に耳を傾けた。…近いよ。なんかいい匂いがする。
「骸、おまえ…もしかしてなんか、いかがわしいこと」
『まさか、何もしてませんよ。お茶とチョコレートを与えて帰らせました』
「じゃあなんでヒバリさん骸のとこに」
「あっ…」
何か思いついたようにパッと顔を上げた彼女の髪から甘い香りが広がる。花びらみたいな唇からかわいらしい声でとんでもない言葉が発せられた。
「骸と浮気してやる!って言って出てきたの」
「な、なーーー!」
『君のせいか…。雲雀恭弥による被害額をボンゴレに請求しようと思って電話したのですが』
「いやいや待って!!ボンゴレ関係ない!」
つけるなら風紀財団にしてくれとは怖くて口に出せなかった。彼女はのんきに「幻覚で何とかすればいいのに」なんて言っている。そういう問題じゃないと思うよ。『幻覚でどうにかなるものではない。床に落ちたチョコレートは皿に戻らないんですよ』お前は何をボンゴレに請求しようとしてたんですか。
『とりあえず僕の口座にお願いしますよ。沢田綱吉』
「はあ!?待てよ!あっ…切れた」
「どうしよう。恭弥が来ちゃう。つなよしくん匿ってくれるよね?」
「困りますよ…」
彼女は「つなよしくんもわたしにいじわるするの?」と目を潤ませた。むしろこれはオレに対する意地悪じゃありませんか?
「ううん…ディーノさんところに隠れとくとか」
「ディーノはだめ。あの人恭弥派だし、ドジってわたしが居ることばらすもの」
「ええ…もう、どうしろと」
2020.06.04.
#復活夢版深夜の真剣創作60分一本勝負
「意地悪」に参加させていただきました
ボンゴレボスと雲の守護者の妻
「……はい?」
いつものことであるが山積みの書類にうんうん唸りながら仕事をしていたオレは、ほとほととドアの叩かれた音に顔を上げた。招き入れれば珍しいお客さん。ヒバリさんの奥さんだ。
「恭弥ね、いじわるばっかりするの」
そう眉尻を下げて悲しそうに言う彼女はオレから見てもとてもかわいい。守護者の、ましてやヒバリさんの奥さんによこしまな気もちなんてないけど。こわいし。
「それでケンカして出てきちゃったんですか」
「そうなの」
「何がきっかけだったんですか?」
「なんかね、ひき肉をハンバーグじゃなくてそぼろにした時から機嫌が悪くなってたんだけど…それから三日もむすっとしてるし、わたしのスマホ高いところに置くし、わたしのきらいなものばかり夕飯にリクエストしてくるし」
「えええ(あのひと大人気無っ!)ひどいですね…」
「ひどいでしょ。ちゅーもはぐもしてくれないし、わたしからしようとすると避けるの!もう我慢の限界よ!」
「それはそれは大変でしたね」
オレは何を聞かされているんだろう。のろけ?のろけじゃないこれ?新婚さんのほのぼのした喧嘩じゃん。
彼女を落ち着かせるために話を聞いているとオレの私用電話が鳴った。背筋に悪寒。この感覚は…。
「はいもしもし?なんだよ珍しいな、骸」
『お久しぶりです。沢田綱吉。雲雀恭弥の妻そっちに行ってませんか?』
「え?ああ来てるけど」
『丁度うちからそちらに着く頃合いだと思いまして。雲雀恭弥がうちで大暴れして出ていきましたと伝えてください』
「骸んとこ行ったんですか?」
驚いて見れば、うん、と細顎が降られる。彼女は体の後ろで手を組んで、受話器に耳を傾けた。…近いよ。なんかいい匂いがする。
「骸、おまえ…もしかしてなんか、いかがわしいこと」
『まさか、何もしてませんよ。お茶とチョコレートを与えて帰らせました』
「じゃあなんでヒバリさん骸のとこに」
「あっ…」
何か思いついたようにパッと顔を上げた彼女の髪から甘い香りが広がる。花びらみたいな唇からかわいらしい声でとんでもない言葉が発せられた。
「骸と浮気してやる!って言って出てきたの」
「な、なーーー!」
『君のせいか…。雲雀恭弥による被害額をボンゴレに請求しようと思って電話したのですが』
「いやいや待って!!ボンゴレ関係ない!」
つけるなら風紀財団にしてくれとは怖くて口に出せなかった。彼女はのんきに「幻覚で何とかすればいいのに」なんて言っている。そういう問題じゃないと思うよ。『幻覚でどうにかなるものではない。床に落ちたチョコレートは皿に戻らないんですよ』お前は何をボンゴレに請求しようとしてたんですか。
『とりあえず僕の口座にお願いしますよ。沢田綱吉』
「はあ!?待てよ!あっ…切れた」
「どうしよう。恭弥が来ちゃう。つなよしくん匿ってくれるよね?」
「困りますよ…」
彼女は「つなよしくんもわたしにいじわるするの?」と目を潤ませた。むしろこれはオレに対する意地悪じゃありませんか?
「ううん…ディーノさんところに隠れとくとか」
「ディーノはだめ。あの人恭弥派だし、ドジってわたしが居ることばらすもの」
「ええ…もう、どうしろと」
2020.06.04.
#復活夢版深夜の真剣創作60分一本勝負
「意地悪」に参加させていただきました
ボンゴレボスと雲の守護者の妻
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