中学生
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黒曜での戦いの後、オレは丸一日眠りこけた。目が覚めてからも全身の筋肉痛に苦しんでるんだけど、同じ病室の獄寺くんと山本と比べると比較的軽症だ。ビアンキは病室が違うからよくわからない。傷も深くて出血がひどかったとリボーンが言っていた。
「あれ?」
よたよた歩いてトイレから戻る途中、病室の前でドアを見つめて立ち尽くす同級生を見つけた。
「マイカ?」
「沢田くん」
近づいてみるとマイカは両手に花瓶を抱えていた。ドアが開けられないのかな?
「お見舞いに来てたの?」
「うん。あ、後で沢田くんのところにも行くね」
「本当!?ありがとう!さっき獄寺くんたちも目が覚めたところなんだ」
「そうなんだ、よかったあ」
「あっ、ドア開けようか?誰のお見舞いに…」
オレは病室の札をに目を向けて硬直した。そこには『雲雀 恭弥』の文字。そうだ!この子たちヒバリさんと仲良いんだったー!!
「ほんと?助かるよ。ありがとう」
マイカがオレに笑いかける。かわいいな…。などと考えている場合ではない、寝ているヒバリさんの邪魔をしたら咬み殺されるよ!既に病室の前でおしゃべりに興じてしまったオレはまた咬み殺されて怪我を負うかもしれないという恐怖に震えた。
中から誰かが近づいてきて扉が開かれる。ヒバリさんすみません!許してください!!
「何してるの?」
「あっレイラ」
「ひいっ!」
「…ひいっ!ってなに?」
扉を開いたのは幸いなことにヒバリさんじゃなかった。
「(ヒバリさん、まだ目覚めないんだ)」
正直咬み殺されないことにホッとしてしまった。ヒバリさんは見るからに重症患者という感じで静かに眠っている。マイカが花瓶を置いてレイラと一緒にベッドのそばの椅子に腰掛けた。2人とももっと深刻な顔してると思ってたんだけど、案外普通だ。いつもと同じ微笑みをたたえた口元を見つめて意外だなと思う。女の子って京子ちゃんみたいに心配するものだと思ってた。
「沢田くん、何か飲んでく?」
「えっ!?ああ、いやお構いなく…」
「まあまあそんなこと言わず〜。」
レイラが立ち上がって冷蔵庫から飲み物を出してくれる。3人分のグラスにジュースを注ぐ姉を見つめるマイカにヒバリさんの容態を訪ねてみた。
「恭弥くん骨が結構折られてて、内臓もちょっと傷ついてたけど致命傷になるものは無くて割と大丈夫だよ」
「そうなんだ、よかった〜!いや、よくはないんだけど」
ふいにガッチャン!っという音と「あっ」という声がしてマイカが立ち上がってレイラを手伝いに行く。
「えっと、大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫!ごめんね」
レイラがわたわた新しいグラスを出している。割れた音じゃなかったからひっくり返しただけみたいだ。
マイカに「はい、どうぞ」と手渡されたグラスを受けとった。りんごジュースだ。
「ヒバリさん、ほんとすごいよ。こんな何本も骨折られて体もほとんど動かない状態で六道骸に殴りかかってほぼ互角だったんだから」
「えっ?」
「あっ」
余計なことを言ってしまったかもしれない。少し目を見開いてこちらを見た双子。この2人って何があったか知らないんだっけ?
「この状態で?」
「さっすが恭弥くん…殺人犯相手にこんな怪我で」
知っているらしい…。マイカは信じられないというような呆れたというような顔でヒバリさんを見やる。レイラは感動の面持ちで話の続きを期待するようにオレを見た。
「そもそも…ヒバリさんがこんな怪我したのってサクラクラ病なのを利用されたからで」
「えっなにそれ」
「あ、えーと」
オレは2人にサクラクラ病の症状と六道骸の能力について軽く説明をした。2人とも目をぱちくりしてオレを見る。その後、顔を見合わせていた。何か目で会話してるな。
「…そうだったんだ」
「恭弥くんがタダでこんなにやられるわけないと思ってた」
「ヒバリさんは強くて頼もしかったよ」
オレが言うとレイラが当然でしょと笑った。
「ていうか、最後殴り飛ばしたなら互角じゃなくて恭弥くんの勝ちみたいなものじゃん」
「そ、そうだね」
◇◇◇
沢田くんを病室へ送るついでにみんなのお見舞いに行くことにした。用意していたお見舞いの品を持って沢田くんについて病棟を歩く。筋肉痛で歩きにくいらしい沢田くんに合わせて歩くレイラは病院に来た時より元気になったみたい。沢田くんのおかげだね。
「ここだよ、山本と獄寺くんも同じ部屋なんだ」
「10代目〜!!お帰りが遅かったですが何かありましたか!?同行できず申し訳ありません!!」
「うわ…」
ベッドの上で土下座する獄寺くんを見てレイラが引いている。私もちょっとびっくりした。
「レイラとマイカじゃねーか。お見舞いに来てくれたのか?サンキュな!」
「うん、2人とも目が覚めたって聞いたから」
獄寺くんは思いっきり土下座してるし、思ったより大丈夫そう。山本くんは重症っぽいな。
「これお見舞い、どうぞー」
「あと、これ獄寺くんに」
レイラがいちばん動けそうな沢田くんにフルーツバスケットを渡す。私はラッピングしたお菓子を獄寺くんに差し出した。
「は?オレに?」
「昨日お誕生日だったよね?おめでとう」
獄寺くんがすごく驚いた顔で私を見返した。
「まじかよ、獄寺。おめっとさん!」
「おめでと!ごっきゅん!」
「誰がごっきゅんだ!!」
「おめでとう!獄寺くん!」
「10代目ぇ…ありがとうございます!!」
さめざめと涙を流しながらまた土下座する獄寺くんにちょっと引きつつ笑っていたら、獄寺くんがこちらに向き直ってぼそりと「ありがとよ」と言った。
「ふふっ。どういたしまして」