中学生
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
月曜の朝には被害者の数も増え、大事件になっていた。知り合いが襲われた子も学校を休んでお見舞いに行くとメールが来ていた。わたしとマイカはすることがなくて手持ち無沙汰だった。
部屋でテーブルゲームをしながらおしゃべりをしていたら見かねたママが私たちに言った。
「レイラ、マイカ。暇なら母と一緒にお料理でもしますか?お掃除の仕方の勉強をしますか?」
「えー。お掃除はイヤだ」
「お掃除が嫌いなら嫁ぎ先は使用人を雇えるお家を選ぶことですよ、レイラ」
「わかってるよ」
ママは時間があるとわたし達に家事の手ほどきをしてくれる。頭もいいのに仕事では顔を出しすぎず夫を立てる、そういう教育を受けてきた人だ。良妻賢母ってやつ。でもわたしは自分の手が汚れる家事はきらい。
「失礼します。奥様、お嬢様方。旦那様からお電話です」
ユリが持ってきたノートPCを開く、画面にはパパの顔。テレビ電話だ。
「あなた、何かあったのですか?」
『レイラとマイカが遭遇した六道骸という男だがただの中学生じゃなかった』
「え、まあそりゃあそうだろうとは思ってたけど」
「六道骸は表の人間ではありません。マフィアの中でも極悪犯を収容する監獄から脱走した脱獄囚です」
ユリの言葉に戦慄した。ママとマイカも表情こそ変えないが、息を詰めるのがわかった。
『お前たち本当になにもされなかったか?』
「…うん、話をしただけ。大した話でもなかったし、近づきもしなかった」
「ただあいさつに来たと」
『…そうか。ユリ、六道骸の写真があったな、一応確認しといてくれ』
「は。こちらがその画像です」
ユリがパソコンを操作して画面を立ち上げる。3人の男の写真だ。わたしはマイカと顔を見合わせた。
『真ん中の男がお前たちが遭った六道骸で間違いないか?』
「ううん、パパ。この人じゃない」
「もっと若くて、美形のオッドアイだよ」
『なんだと!?』
写真に写っていたのは全然違う人物だった。ていうか中学生ですらなさそうな顔の男だ。
「旦那様」
『ユリ、キャバッローネに今のことを連絡しておいてくれ。あと、レイラ達の見た男の人相も詳しくな』
「承知致しました」
パパが画面の向こう側で目を閉じてため息を吐いた。そしてゆっくり目を開く。
『もうひとつ、知らせておくことがある。恭弥が並中生襲撃事件の犯人を突き止めたそうだ。恭弥の部下から連絡が来ていた』
「さすが恭弥くん!」
『だが、六道骸のこともある。襲撃事件が解決しても安全とは言えない。なるべく家から出ないように、ユリから離れるなよ』
「「はーい」」
『家のことは任せた』
「はい」
パパはママに画面越しに微笑むと通信を切った。せっかく恭弥くんが事件を解決に向かったのに、六道骸のせいで遊びにも行けない。早く捕まってくれたらいいのに。
恭弥くんなら、きっと今日中に襲撃犯を咬み殺して捕まえてくれる。そうしたら、恭弥くんを呼んで襲撃犯の話をしてもらおう。六道骸のことはマフィアの皆さんにお任せ。マイカを怖がらせるやつなんて早く牢獄へ戻ってよね。
◇◇◇
「ユリさん、あのね」
「マイカ様、どうかなさいましたか?」
「六道骸についての資料、もうちょっと見せてくれないかな」
「かしこまりました。ご準備致します。ただ、あまり気持ちの良い内容ではありませんよ」
うん、わかってる。それは覚悟の上。ユリさんから私のパソコンに資料を送って貰った。目を通してみると、確かに気持ちの良い内容ではない。
「レイラには見せられないなぁ…」
彼らが起こしてきた凄惨な事件の数々が詳しく綴られている。トラウマになりそうな画像も盛りだくさんだった。
資料を裏社会関連フォルダに保存して、ため息をつく。そしてなんとなく、同じフォルダに入れていたボンゴレ10代目候補とその周りの人物の資料を開いた。一度見た内容だし、ほぼ覚えているけどなんとなく。裏社会にも光と闇がある。サーっとスクロールしていたが獄寺くんのページに目が止まった。
「あ、今日って」
「結局お料理するの?」
「良いではありませんか、和食にしますか?洋食にしますか?それとも中華?」
「ううん、あのね。ケーキ作ろ」