-
昼食後のお昼休みの時間に、いつものように片切友一の机の周りに集まった4人、沢良宜志法が<学校の七不思議>のひとつをみんなに話してきかせたところ、四部誠もそのひとつを知っていて話し、そして次には美笠天智がそのひとつを話して、次は心木ゆとりが自分も知っていると言い話し出したのだった。
-
心木ゆとり
本当に残りの<学校の七不思議>も話したほうがいいのかな……?
-
片切友一
ここまで来て躊躇うことはないだろ?
-
四部誠
いいでぇーすっ!
-
沢良宜志法
こら、四部!
……でも、私もここでやめられたら、逆に気になっちゃうかも。
どんな話だったのかってずっと考えちゃいそうで嫌だな……。 -
美笠天智
とりあえずは全部話を聞かせてもらったほうがいいかな?
ほら、心木さんだって、途中で話すのをやめてしまったらひとりで抱えていなくちゃいけないことになるわけだし。
それは辛いだろうからさ。 -
片切友一
天智の言う通りだな。
俺も沢良宜と同じで途中でやめられたら気になるし。
それに、心木、お前、途中で聞くのをやめたら夢に出るって怖がってたよな?
話さないでいることも同じだと思うしさ。
四部も聞きたいって言ってるしな。
みんなしてずっともやもやしてるのもなんだか……。
ここまで来たんだし。
頼むから話してくれないか? -
心木ゆとり
うん、わかった、友一がそう言うなら話すね!
上手く話せるかわからないけど……。
えっと、<学校の七不思議>のもう1つの話は、美術室についてなんだけどね……? -
真っ赤に染まる美術室
-
心木ゆとり
昔ね、この学校の生徒の中に、美術の展覧会で賞を取っちゃうような、とっても絵の上手な女の子がいたらしいの。
芸大目指してたんだって。
それでいつも放課後も学校に残って遅くまで美術室で絵を描いてたらしいんだ。
最初は風景画ばかりだったらしいんだけど、その女の子はある時ある男の子に恋をして、それからはずっと、その好きな子の絵を描いてたらしいんだ。 -
四部誠
へぇーっ、恋かぁ、なんか青春だな!
-
沢良宜志法
怖い話とは思えないけど……
-
美笠天智
毎日居残りして絵の練習とは感心だな
-
片切友一
まぁ、真面目だよな、ずっと続けるなんてよっぽど好きだったんだな。
-
心木ゆとり
ところがね?
その相手の好きな男の子がそのことを知っちゃって、そしたら気持ち悪いって、酷い振り方をしたらしいんだ。
何かもうその女の子が生きていけなくなるくらいの……。 -
心木ゆとり
ものすごく罵倒してね、絵ばっかり描いて根暗な女とか、お前なんかが俺のことを見つめるなとか、とにかく気持ち悪いって。
傷つくことをたくさん言ったらしいよ。
それでその女の子の絵のことまで貶したらしいの。
才能がないとか、ただの落書きの紙ゴミとか、そんなものしか描けないならやめてしまえとかって散々に貶したんだって。
もちろん嫌いだって言われてその女の子は失恋したんだけどね……。 -
心木ゆとり
その後にね、女の子は線路に飛び込んで、自殺しちゃったらしいんだ……
-
美笠天智
……うーん……(-_-;)
-
四部誠
そこまでしなくたっていいだろ!?
自分を好きだって思ってくれてるんだぜ!?
絵を描いてくれるほど好きだったんだろ!?
マジひでぇ!!
可哀想なことするよなぁー!! -
沢良宜志法
うっ、まぁでも、勝手に絵に描かれていたら、しかもそれが連日だと、なんだかちょっと怖いような気がするかもしれないわね……(-_-;)
-
片切友一
きっと我慢がならなかったんだろうな。
こっそりとだとやっぱり不気味だしさ。
腹が立ってつい激しく罵ってしまったとかなのかもしれないけど。 -
心木ゆとり
女の子はね、電車に轢かれて、大量に真っ赤な血を流してたらしいよ。
それでね、美術室からはその女の子の描いた男の子の絵がどれも全部無残に引き裂かれてて、彼女がやったんじゃないかって。
後からわかったことなんだけどね?
それ以降、放課後のある時間になると、美術室が何故か真っ赤に染まるんだって。
掃除とかが遅くなった人で見たことがある人は結構いるらしいよ。
死んだ女の子の呪いだって。 -
心木ゆとり
その時に居合わせた人はね、たとえ好きな人と付き合っててどんなに上手くいってても、必ず失恋しちゃうんだって!
-
心木ゆとり
美術室が赤く染まるのは死んだ女の子の赤い血なんじゃないかって。
噂では、その切り裂かれた男の子の絵も、顔が血か何かで塗られて真っ赤だったらしいよ!
今なお女の子の恨みは晴れてないんだよっ!
それで自分と違って恋愛してる人達が許せないから呪うんだよ!!
きっとっ!! -
沢良宜志法
えっと、なんだか、ゆとり、テンションが高いし、楽しそうね……?
-
心木ゆとり
えっ、別にそんなことないよ、志法ちゃん!
-
沢良宜志法
あっ、ああ、そう。
それならいいんだ……。
それが<学校の七不思議>のひとつなわけだ、なるほどね。
だけど美術室でしょ、放課後ならちょうど夕日のせいで真っ赤に染まったように見えることくらいはあるんじゃないかしら、あそこは南西にあるんだし。
別に不自然じゃないわよ?
馬鹿馬鹿しい! -
美笠天智
まあまあ、沢良宜さん、そうカッカしないで。
確かにただの噂だからね、振り回されたくない気持ちはわかるけど、心木さんも頑張って話してくれたんだし。
心木さんも怖い話をするために恐怖で興奮したんだろうから落ち着いて。 -
四部誠
よぉっし!
その噂が本当かどうか俺と志法で確かめに行こうぜ!
呪いのせいで俺と志法が破局するのかどうか! -
沢良宜志法
四部と付き合ってなんかいない!!
-
片切友一
なんかさ、嫌だよな、そういうの。
理不尽な感じしないか?
どうせそのふたりの間の出来事なのにさ。
まったく無関係なのに呪われるって言われてもさ。
その女の子とその男の子の話なんだろ?
こういう関係がないのに無理やり巻き込まれるみたいなのはなんかなぁ。 -
片切友一
自分達の問題じゃねぇか!
-
片切友一
……って、俺は思うけどさ、それはそれとして面白かったよ、心木!
ありがとなっ!
さてと、あともうひとつあるんだっけ、それも聞きたいなぁ。 -
心木ゆとり
あっ、うんっ、友一任せて!
大丈夫だよ!!
私、次もちゃんとできるだけ忠実に聞いたことをそのままに、話してみせるからねっ! -
そしてあとひとつ
タップで続きを読む