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昼食後のお昼休みの時間に、いつものように片切友一の机の周りに集まった4人、沢良宜志法が<学校の七不思議>のひとつをみんなに話してきかせたところ、四部誠もそのひとつを知っていて話し、そして次には美笠天智がそのひとつを話して、次は心木ゆとりが自分も知っていると発言したのだった。
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心木ゆとり
どうしよう……。
私も話したほうがいい?
みんな話したんだもんね。
『学校の七不思議』。
今度は私の番かなぁ。
思い出すのも怖いけど、頑張って話すよ! -
四部誠
いやっ、ってか、よくゆとりがそんなの知ってるよなーっ!
お前って怖がりじゃん!
どうやって知ったんだ!? -
心木ゆとり
えへへ……。
私って地味だからね、私がいることに気付かないで、みんないろいろと話すんだよね。
だからその気がなくても聞いちゃったりとか。
あっ、盗み聞きとかじゃないよ、ただ聞くつもりなくても自然と耳に入っちゃって……。
その場を移れない時とかがあって仕方なくで。
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美笠天智
ううーん、心木さんはおとなしいから、そういうことになってしまうんだろうけど。
嫌なら言ったほうがいいんじゃないかな。
聞きたくないことまで聞かされるのは辛いだろうし…… -
四部誠
あー、うるさく騒いでる女子とか、いるよな。
もうちょっと周りのこと考えて静かにしろってぇのっ。
あんな大声出してさー! -
沢良宜志法
四部は人のこと言えないじゃないっ!
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片切友一
ははっ、まったくだな!
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美笠天智
確かにな
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四部誠
ちょっ、ひでぇよぉ、3人とも~!
そりゃないだろ?
俺は盛り上げてんの!! -
心木ゆとり
クスクス……
ありがとう、美笠君、そうしてみるね。
できるかどうかわからないけど。
えっと、それでね、話していいのかな?
3つあるんだけど。 -
四部誠
3こも!?
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沢良宜志法
ず、ずいぶんと、多いじゃない……?(-_-;)
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片切友一
そんなに知ってるのか、心木、すごいなー!
(*^▽^*) -
美笠天智
俺がチャンピオンと言っていた誰かさんを確実に超えたな。
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心木ゆとり
いいい、いえいえっ、そのような大層なものではっ……、ないです💦
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片切友一
それで、心木、3つ全部覚えてるのか?
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心木ゆとり
えっ、あ、うん。
大丈夫だよ、友一、あの……。
怖かったし、しっかり記憶に残っちゃってるよ、あははv -
美笠天智
じゃあ話してくれる?
心木さん。
みんなも聞きたいよね? -
四部誠
はーいっ!!
はいはいはいっ!
俺は聞きたいでーす!
そしてどっちが怖いか勝負だぜっ(^_-)-☆
負けたりしねぇよ? -
沢良宜志法
ま……、仕方がないか、この場合は……。
ただし早くしてよね。
授業始まっちゃうし。 -
片切友一
俺もまぁ、この学校のことだしな、興味があるから賛成だぜ。
心木もひとりで抱えてたくないだろうし。
ここまで来ちまったらな。 -
心木ゆとり
それじゃあ……話すね。
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体育館倉庫の赤ちゃん
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心木ゆとり
まずひとつ目は。
『体育館倉庫のバレーボールのボールカゴの中の赤ちゃん』。
昔ね、バレー部の中に妊娠している女の子がいてね、それでも隠して続けてて。
エースとかだったらしいよ。
だけど先生の扱いが酷くて、その子だけイジメみたいな目に遭ってて、片付けとかもひとりでやらされたりとかしてて、それで流産しちゃったらしいの。
体育館倉庫にバレーボールの入ったボールカゴをようやくしまい終えた後に。 -
沢良宜志法
ううーん……(;一_一)
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美笠天智
なんというか……(-_-;)
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四部誠
気まずい話だな!(^_^;)
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片切友一
嫌な話だぜ。
エースなら大事にしそうなものなのに。
あっ……、いやなんでもない、続けてくれ。 -
心木ゆとり
うん……。
あのね、それでね、救急車が来たらしいんだけど、その女の子は体育館倉庫に倒れていたらしんだけど、どんなに懸命に捜しても赤ちゃんがどこにもいなかったんだって。
明らかにその……そういう状況だったにも関わらず見つからなくて。
それで、今でも噂されてるんだけど、そのことは。
だって、体育館倉庫の中からね、時々泣き声が聞こえるんだって。
オギャアオギャアっていう赤ちゃんの泣く声が……! -
沢良宜志法
馬鹿馬鹿しい!
あれよ、ほら、猫が入り込んだとかじゃない?
ありがちなやつよ。
赤ちゃんと猫の声って似てるっていうし。
そんなことがあるわけないでしょ!? -
美笠天智
まぁ、流産なのだし、赤ん坊が自力で移動できるとは思えないからな。
その話は妙だとは思うが。
しかし、そんなものは沢良宜さんも言うように猫の鳴き声だとか、風の音だとかなんとでも説明はつくしな…… -
四部誠
それだけなのかよ!?
なんだよ、たいして怖くねぇじゃん、これやっぱ俺の勝ちだな~!
怖い話チャンピオン俺!! -
沢良宜志法
うるさいわね、黙ってなさいよ、四部!
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片切友一
これで全部なのか?
心木。
何かまだ続きがあるんじゃないのか? -
心木ゆとり
えっとね、ある人が必要があって体育館倉庫のバレーのボールカゴに手を入れてボールを取り出そうとしたら、出て来たのは血塗れの赤ちゃんだったんだって。
それをした人、泣き声も気にせずに、なんでもないことを証明してみせるとまで言ったらしくて。
そうしたら血で真っ赤な赤ん坊を持ち上げちゃって、おかしくなって精神病院に入院しちゃったらしいよ。
その赤ちゃんを抱いた人はそうなるって話で。
怖いよね。 -
片切友一
流産した女の子はひとりで片付けをさせられてたんだろ?
おまけに体育館倉庫の中でって……。
それでなんでボールカゴの中に赤ん坊が入れたんだ?
その女の子を発見したのは誰なのかとかわかるか?
救急車を誰が呼んだのかとかそういうやつ。 -
心木ゆとり
え……?
えっと、わからないけど、たぶん顧問の先生なんじゃないかなぁ。
一番最後に残ったはずだし。
それがどうかしたの?
友一? -
片切友一
あ、いや、なんでもないんだ。
ゴメン。
話を続けてくれ……(^_^;) -
心木ゆとり
ん、んー……、そう言われてもこの話はこれで終わりなんだけど。
体育館倉庫に出る赤ちゃんの幽霊なんだよ。
私も、ボールを取ろうとして血塗れの赤ちゃんだったら怖いなぁ、泣き声だけでも怖いよぉ。
もう絶対にひとりでは入らないよ!
入れないよ!!
志法ちゃん、必要がある時は一緒に行ってね、頼りにしてるから! -
沢良宜志法
あ、えっと、うん、そうね、わかった!
私が気力で追い払ってあげる!
もちろんそんな得体の知れない物がもし万が一本当に出た場合にだけど……。
そんなもの絶対に出ないでしょうけどね!
仮に出たとしても赤ちゃんなら怖くないわ!! -
心木ゆとり
わあぁ、さっすが、志法ちゃん!
かっこいいねv
志法ちゃんがそう言うなら私も平気かも……。
私、すっごく怖くて、どうしようかなぁと思ってたけど。
いざとなったら私のこと守ってねっ!(>_<); -
四部誠
うげぇ、ボールカゴの中に入ってる血塗れの赤ちゃんって、なんか怨念感じて嫌だぜ!!
『学校の七不思議』のひとつにしちゃ、なんとなく不気味だし、マジで怖いよ!!
そんな酷い話、それによく意味わかんねぇぞ、どうういことだよ!?
ヤバくない!?
っつーか普通に気持ち悪いよな!!
俺は絶対に見たくないそんなもん!! -
美笠天智
うっ、う~ん、そうか……
そういうことなのか……
もし、いや、しかしな…… -
片切友一
天智……。
お前もそう思うか?
もしかしたらって……。 -
美笠天智
友一……
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片切友一
ここはお互い胸に秘めておこう!
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美笠天智
……ああ、そうだな、それがいい。
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沢良宜志法
ちょっと!
美笠君も友一も!
何かわかったなら言いなさいよ! -
心木ゆとり
言って……欲しいかな……でも言いたくないんなら……
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四部誠
おいおい、ふたりだけで通じ合っちゃってて、ずるいぜお前ら!!
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美笠天智
なんと言ったらいいのか、どうなんだろうか、この話に思うところがあってな。
それは友一も同じだと思う。
しかし明らかにすべきことでもない。
怪談以上に怖るべきことが考えられるんだが。
それだけさ。 -
片切友一
まぁまぁ、心木、とりあえず気にせずに次の『学校の七不思議』を話してくれよ!
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そしてあとふたつ。
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