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昼食後のお昼休みの時間に、いつものように片切友一の机の周りに集まった4人、沢良宜志法がたまたま聞いてしまった<学校の七不思議>のひとつ『屋上から飛び降りる女生徒の幽霊』の話をみんなに話してきかせたところ、自分も七不思議を知っていると四部誠が発言して話し出した。
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四部誠
俺も聞いたことあるぜ!
この学校の七不思議ってやつ!!
知ってるからみんな俺の話も聞いてくれよなっ!!
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四部誠
それは『階段から滴り落ちて来る赤い血』って話なんだけどさ~っ……!
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四部誠
この校舎の右端の2階から3階へ行く階段の途中にさ……。
踊り場に新しい鏡があるだろ?
あそこでさ、昔イジメられてた女子が3階から逃げようとして足すべらせて落っこちちゃったらしくてさぁ、それで……。 -
心木ゆとり
イヤーッ……!!(>_<)
ちょっと待って! -
心木ゆとり
怖い話するの?
ねえ!?
さっきもちょっと怖かったのにぃっ!? -
沢良宜志法
ちょっと、四部!
まだ誰も聞くなんて言ってないじゃない!?
勝手に話し出さないで! -
美笠天智
こういった話の性質上、話してもいいかどうかみんなに訊ねて許可を得てからにするべきだと思うんだが、俺は(~_~;)
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片切友一
まぁ、四部のことだからさ、思わず言っちまったってだけだろ?(^_^;)
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美笠天智
それにしてもだな……
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沢良宜志法
配慮に欠けてるわよ!
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心木ゆとり
キャーッキャーッ、聞いちゃった、どうしよう!?
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四部誠
あっ、悪い悪い!
ゴメーンッ!
ゆとりに怖い思いさせちまったかぁ。
そんなつもりはなかったんだけど。
つい軽い気持ちでさ…… -
片切友一
うん、まぁ、お前らしいよ
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沢良宜志法
それが困りものなのよね。
はぁ……。
毎度考えなしに口に出すんだから -
美笠天智
まあまあ、沢良宜さん、そんなこと言わずに、悪気はなかったんだから許してあげようよ?
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心木ゆとり
……それでその話の続きは……?
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四部誠
えええっ!?
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沢良宜志法
ゆとりっ!?
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美笠天智
心木さん……?
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片切友一
心木、お前、興味があるのか?
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四部誠
マジで、ゆとり、俺の話が聞きたいのか!?
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片切友一
怖いんじゃなかったのか?
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心木ゆとり
だって、こういうお話って、続きを聞かないと夢に見るっていうじゃない?
怖いけど……。
怖いけどそうなるのも怖いからどうせならみんなと一緒にいる時に全部聞いちゃいたいよっ! -
片切友一
無理はするなよ……?
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心木ゆとり
平気っ!
みんなと一緒だし!
頑張るっ。 -
沢良宜志法
んー、まぁ、私も正直気にはなるし……。
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四部誠
あーっ、さては志法、今のゆとりの話を聞いて志法も怖くなったんだろーっ!?
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沢良宜志法
失礼な!
馬鹿にしないで!!
べっ、別に怖くなんかなってないっ……!! -
美笠天智
途中まで聞いてしまったんだし、続きを知りたいのは普通じゃないかな、ねぇ沢良宜さん?
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沢良宜志法
そうよ、美笠君の言う通りよ、何もおかしくないじゃない!
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片切友一
俺も……一応はこの学校のことなんだし、みんなが大丈夫なら聞きたいんだけどな
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片切友一
四部
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片切友一
続きを話してくれないか?
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四部誠
いいぜ!
了解♪
よっしゃあーっ!
俺に任せろ!!
この怪談話を語らせれば右に出る者はいないという某有名怪談話のプロにも認められたこの俺にっ…… -
沢良宜志法
誰それ?
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片切友一
盛りすぎだろ!?(*^▽^*)
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美笠天智
それは別にお前が怪談話のプロとして認められたわけではないのでは?
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心木ゆとり
……クスクスッv
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階段から落ちる赤い血
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四部誠
あのさーっ……。
もう途中まで話しちゃったけどさ。
この学校の右端にある2階から3階への階段があるじゃん。
あそこでさ、その昔、イジメられてて逃げようとして足をすべらせた女子が落ちて、踊り場の大鏡に頭から突っ込んでさ、何針も縫うような大怪我をして、学校やめちまって、その後病院で亡くなったらしいんだ。
この学校や生徒達すべてを恨みながらさ。 -
心木ゆとり
ひえぇっ……
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沢良宜志法
嫌な話よね
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美笠天智
それで?
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四部誠
それがさ、鏡に頭から突っ込んだわけじゃん、もう血がすごかったらしくてさぁ……。
なんか、その女子が事故に遭った時間帯にその3階へ続く階段を上ってると、上から血が流れてくるらしい、踊り場のほうから……。
どろどろと、たらたらと、大量の血が……。
それで、必ず足をすべらすらしいんだよな、どれだけ気をつけてても無駄なんだって。
とはいえ段数が段数だから大怪我した奴はいないらしいんだけど。 -
沢良宜志法
ふーん……?
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四部誠
中には、踊り場のほうまで上りかけて、頭が真っ二つに割れた全身血塗れの女子が身を起こして、自分のほうに這って来る姿を見たって奴までもが……!
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心木ゆとり
……(ゴクリ)。
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四部誠
そいつが見たらしいんだけど、その時だけは、今はもうとっくのとうに無くなってる鏡があったんだって!
なんか噂によると、それまでに階段から落ちるか逃げるかしておかないと、鏡の中に引きずり込まれるってことらしいぜ……。
存在しない鏡だから、その存在しない世界で、生きながら永遠にさまようんだとかってな!
ずっとその亡くなった全身血塗れの女子と一緒に……ってさ!!
どーだ、怖いだろ? -
沢良宜志法
……。
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心木ゆとり
私、絶対にもうあの階段は通らないようにしなくちゃ、遠回りしてでも別の階段使うね!!
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沢良宜志法
あ、うん……。
ゆとり、そうしたらいいんじゃない?
私もこれからそうしようかな~ -
心木ゆとり
ねっ、志法ちゃん!
絶対にそうしようよ!! -
沢良宜志法
ああ、うーん、まぁそうね。
ゆとりが怖いんなら。
仕方ないかもね -
四部誠
志法、そんなこと言って、ゆとりだけじゃなくやっぱりお前も怖かったんだろぉ~っ!?
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沢良宜志法
そんなこと一言も言ってないじゃないっ!!
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美笠天智
よくできた怪談話ではあるよね。
ちょっとありがちだけれど。
だからこそもしかしてそういうことがあるかもと思わせることができる。
ただ、生き証人がいるわけでなし、噂話に過ぎないと思うけれども。
その永遠の世界から戻ってきた人はいないわけだし……ね? -
沢良宜志法
そうよね?
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心木ゆとり
あっ……、そ、そっかぁ
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四部誠
なんだよ、本当にあるんだって、この話っ!!
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片切友一
あそこの階段さー。
この間俺も通ったけど……。
踊り場って結構広いよなー? -
四部誠
はぁっ!?
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片切友一
あのさ、3階から足をすべらせて落ちたとしたら、鏡にぶつかるほどだとなるとよっぽど勢いがあったんだとしか。
吹っ飛んだとかなのか?
普通はそのまま落ちて床に頭を打つ程度だと思うんだけど。
突き飛ばされたのか?
いや、それでも、なんかおかしいような……。 -
四部誠
えっ、何、どゆことっ!?
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片切友一
いや、そんなことがあったらさ、即死じゃないのかなぁ……って。
頭が真っ二つになるような事故だぜ?
その場で亡くなってるよ。
学校でそういう理由で死人が出てたら大騒ぎになってるだろうし。
いくら俺達でも過去にそういうことがあったとしたら知らないわけがないと思うんだけど? -
四部誠
友一~っ!!
ただの怪談話にリアル持ち込むなよぉっ!
面白くなくなるだろ?
<学校の七不思議>なんてみんなそんなもんだろーが!
頼むからそんな冷めるようなこと横から言ってくれるなよ~っ。 -
片切友一
ははっ、四部、スマン!!
でもな、俺、思うんだよ。
あそこの階段は、踊り場の窓が開いてるとさ、雨が吹き込むんだよ。
それで下のほうが濡れるんだよな。
すべってもおかしくないと思うけどさ! -
沢良宜志法
そう言われてみれば……
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美笠天智
まぁ、そういうことは確かにあるかもしれないな、わざわざ開ける奴がいるかは疑問だがな
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心木ゆとり
あっ、あの辺は建物の構造的に空気がよどむから、換気するために窓を開けてるのかも……?
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片切友一
まぁ、真偽のほどはわからないけどさ、そんなふうに思えばそう怖くもないだろ?
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沢良宜志法
確かに……むしろ馬鹿馬鹿しいわね
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美笠天智
幽霊の正体見たり……っていう感じだな
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心木ゆとり
うわぁっ……!!
友一、すごい、名探偵みたい!!
ほっ……!(´▽`) ホッ -
片切友一
別に、俺は思ったことを言っただけだよ、な?
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四部誠
んじゃあ次の話に行こうぜーっ!
他に<七不思議>知ってる奴いるかーっ?
いたら手ぇ挙げろーっ!
なぁんちゃって!
いないよな? -
美笠天智
あ、じゃあ、俺が
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四部誠
いたの!?
しかも天智!?
お前知ってんの!? -
そして、二つまで語られた<学校の七不思議>、次に名乗り出た美笠天智は三つ目の図書室の不思議な本についての話を語り出すのであった……。
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