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「寒い!」
「当たり前でしょう、冬なんですから。」
モストロ・ラウンジのバイトを終えての帰り道。
時間が遅いこともあって、冬の厳しさを全身で味わう私は、思わず声を上げてしまった。
アズール先輩は、鼻の頭を赤くしているけど、私みたいにブルブル震えることもなく、寒いところから来ている人は寒さに強いって本当なのかな、なんて考えながら自ら身体をかき抱いた。
「先輩、大変!手袋の中で手が凍りそうです!手袋が役に立たない!」
「そんなわけないでしょう…。人体はこんな程度の気温で凍ることはありませんよ。」
「…む…手を繋いでほしいなー…ってことだったんですが…」
「嫌ですよ、冷たいんでしょう?」
「ふは!ですよね!たしかに。」
あー!寒い!冷たい!痛い!
なんてわぁわぁ声に出しても、その寒さがなくなるわけではないんだけど、それもまた冬の醍醐味というものだ。
「こんなに寒いならいっそ雪が降ってくれたらいいのに。」
「それは、一理ありますね。…そうすれば…」
そう言ってふいに立ち止まったアズール先輩を、一歩先から見返して、私は小首を傾げる。
「せんぱい?」
「…もっと寒ければ、それを理由に貴女に触れられる。」
「へ、」
「…手を、と、…僕が言いたかった言葉を、とられてしまったので、少し意地になりました。」
「!」
ちょっとムスッとした表情に、愛しさが湧いた。
『じゃあ、その、』と言いながら手袋を外して、自分の手を差し出して。
「今度は先輩が、言ってくれますか?」
「…なんだか癪ですが、仕方ありません。…『手を繋ぎませんか?』そうすればきっと、互いの体温で暖かくなるでしょうから。」
「ふふっ…」
「なんです?」
「もう暖かくなってきました。先輩、魔法使いました?」
「…?使っていませんよ。」
「なんででしょうね、心の中からぽかぽかです!」
そう言って絡めた指先は、やっぱり冷たくて、けれどとても、暖かかった。
「当たり前でしょう、冬なんですから。」
モストロ・ラウンジのバイトを終えての帰り道。
時間が遅いこともあって、冬の厳しさを全身で味わう私は、思わず声を上げてしまった。
アズール先輩は、鼻の頭を赤くしているけど、私みたいにブルブル震えることもなく、寒いところから来ている人は寒さに強いって本当なのかな、なんて考えながら自ら身体をかき抱いた。
「先輩、大変!手袋の中で手が凍りそうです!手袋が役に立たない!」
「そんなわけないでしょう…。人体はこんな程度の気温で凍ることはありませんよ。」
「…む…手を繋いでほしいなー…ってことだったんですが…」
「嫌ですよ、冷たいんでしょう?」
「ふは!ですよね!たしかに。」
あー!寒い!冷たい!痛い!
なんてわぁわぁ声に出しても、その寒さがなくなるわけではないんだけど、それもまた冬の醍醐味というものだ。
「こんなに寒いならいっそ雪が降ってくれたらいいのに。」
「それは、一理ありますね。…そうすれば…」
そう言ってふいに立ち止まったアズール先輩を、一歩先から見返して、私は小首を傾げる。
「せんぱい?」
「…もっと寒ければ、それを理由に貴女に触れられる。」
「へ、」
「…手を、と、…僕が言いたかった言葉を、とられてしまったので、少し意地になりました。」
「!」
ちょっとムスッとした表情に、愛しさが湧いた。
『じゃあ、その、』と言いながら手袋を外して、自分の手を差し出して。
「今度は先輩が、言ってくれますか?」
「…なんだか癪ですが、仕方ありません。…『手を繋ぎませんか?』そうすればきっと、互いの体温で暖かくなるでしょうから。」
「ふふっ…」
「なんです?」
「もう暖かくなってきました。先輩、魔法使いました?」
「…?使っていませんよ。」
「なんででしょうね、心の中からぽかぽかです!」
そう言って絡めた指先は、やっぱり冷たくて、けれどとても、暖かかった。