岩男腐向け短編まとめ
(青岩)
リクエスト品。暗めのブルロク。岩男4のワイリー基地爆破直後、エンディング直前あたり想定です。
親の罪は子のものか?
宗教が、法が、ヒトが、ありとあらゆる社会がこれを問うては嘆いてきたが、ブルース個人の答えは依然として『ノー』だろう。父(そうだ、父だ。Dr.ライトのことはそう呼ぶしかない)の罪は父のもので、その罪こそが子たる己の人生に核たる瑕疵を付けたのだったとしても、それはブルースの罪では無いのである。
が、しかして、それを言い訳にしながら弟の優しさから逃げ続ける、己の罪はここに有るんだろうか?
さようならは言わないで
「ブルース! まって!」
ブルースは躊躇いがちに振り返る。
サングラス越しの視界の中、遠く爆発するワイリー基地を背に息を切らしたロックマンの顔がよく見えた。戦いの中で見える勇ましさは鳴りを顰め、ただ純朴な少年のかんばせよ。
小さな鼻にまろい頬、小学生男児を思わせるくりんとした瞳。同じ父を持ち、同じく子として造られ、だから自分も似たようなパーツを持っているはずなのに、弟のそれはよっぽど純潔をうつしてくれる。
ブルースは却って嫌だった。なにが嫌って、犠牲の上でこんな理想を作り上げた、父の傲慢が……。
「お礼、まだちゃんと言えてなかったからっ……ありがとう。カリンカちゃんのこと」
「礼を言われるほどのことじゃあない」
「いいや! それに前の時だって!」
「……早くライトの元へ帰るんだ。みな、お前を心配しているだろう」
それでも弟のことは好きだ。父の罪は子の罪ではないのである、ロックはどこまでもまっさらだ。健気で愛おしいこのヒーローを、ブルースもやっぱり好きだった。家族と呼ぶことが難しくとも。
「ブルース……」
だから辛うじて耐えられる。弟を悲しませた。それが逃避と過保護の罰であろう。そうとも。
帰ることも、憎しみから親を殺すことも選択しなかった、最終判断はブルースのものだ。
ロックが立ち去らないのであれば自分が退るまでと、ブルースは再びかの子に背を向ける。
「ヘンに聞こえるかもしれないけど、ぼくはずっと前からきみに助けられていたんじゃないかって思うんだ……」
しかし歩き出すよりあちらが口を開く方が早い。
「ブルースはぼくに言いたくないことがあるんだよね?」
「……」
「無理に聞いたりしないよ。だけどきみがぼくを想ってくれているように、ぼくもきみの力になりたい」
ロックの声は存外穏やかだ。もう見ずとも分かる、心配をされている。労わられている。
みるみるうちに慰撫されていく己の心中の浅ましきかな、うっかり罪を白状しそうになって、それを悟られないようにかぶりを振ることだってできない。
「おねがい。約束して。また会ってくれるって」
ブルースは振り返らなかった。
代わりに片手だけヒラリと、風に吹かれて靡くスカーフが如く掲げて、ようやく立ち去ることができたのであった。
(約束……か)
だれも彼もに優しいあの子。闇を焼き続けてまっさらと輝くこと。ブルースが間違いを犯すことのないよう、一方的に約束を取り付けたせっかちわがまま、世界の愛し子。
父の面影を継ぐ、ヒーロー。
あるいは、真正の愛こそロックの罪だったりはしないだろうか。純心とは疑いなき盲信か? そんなバカな。でなくば罰は、これからずっと兄の存在を知らないことになる……。
しかし翻って、それはブルースに与えられた恩赦の形そのものであった。
リクエスト品。暗めのブルロク。岩男4のワイリー基地爆破直後、エンディング直前あたり想定です。
親の罪は子のものか?
宗教が、法が、ヒトが、ありとあらゆる社会がこれを問うては嘆いてきたが、ブルース個人の答えは依然として『ノー』だろう。父(そうだ、父だ。Dr.ライトのことはそう呼ぶしかない)の罪は父のもので、その罪こそが子たる己の人生に核たる瑕疵を付けたのだったとしても、それはブルースの罪では無いのである。
が、しかして、それを言い訳にしながら弟の優しさから逃げ続ける、己の罪はここに有るんだろうか?
さようならは言わないで
「ブルース! まって!」
ブルースは躊躇いがちに振り返る。
サングラス越しの視界の中、遠く爆発するワイリー基地を背に息を切らしたロックマンの顔がよく見えた。戦いの中で見える勇ましさは鳴りを顰め、ただ純朴な少年のかんばせよ。
小さな鼻にまろい頬、小学生男児を思わせるくりんとした瞳。同じ父を持ち、同じく子として造られ、だから自分も似たようなパーツを持っているはずなのに、弟のそれはよっぽど純潔をうつしてくれる。
ブルースは却って嫌だった。なにが嫌って、犠牲の上でこんな理想を作り上げた、父の傲慢が……。
「お礼、まだちゃんと言えてなかったからっ……ありがとう。カリンカちゃんのこと」
「礼を言われるほどのことじゃあない」
「いいや! それに前の時だって!」
「……早くライトの元へ帰るんだ。みな、お前を心配しているだろう」
それでも弟のことは好きだ。父の罪は子の罪ではないのである、ロックはどこまでもまっさらだ。健気で愛おしいこのヒーローを、ブルースもやっぱり好きだった。家族と呼ぶことが難しくとも。
「ブルース……」
だから辛うじて耐えられる。弟を悲しませた。それが逃避と過保護の罰であろう。そうとも。
帰ることも、憎しみから親を殺すことも選択しなかった、最終判断はブルースのものだ。
ロックが立ち去らないのであれば自分が退るまでと、ブルースは再びかの子に背を向ける。
「ヘンに聞こえるかもしれないけど、ぼくはずっと前からきみに助けられていたんじゃないかって思うんだ……」
しかし歩き出すよりあちらが口を開く方が早い。
「ブルースはぼくに言いたくないことがあるんだよね?」
「……」
「無理に聞いたりしないよ。だけどきみがぼくを想ってくれているように、ぼくもきみの力になりたい」
ロックの声は存外穏やかだ。もう見ずとも分かる、心配をされている。労わられている。
みるみるうちに慰撫されていく己の心中の浅ましきかな、うっかり罪を白状しそうになって、それを悟られないようにかぶりを振ることだってできない。
「おねがい。約束して。また会ってくれるって」
ブルースは振り返らなかった。
代わりに片手だけヒラリと、風に吹かれて靡くスカーフが如く掲げて、ようやく立ち去ることができたのであった。
(約束……か)
だれも彼もに優しいあの子。闇を焼き続けてまっさらと輝くこと。ブルースが間違いを犯すことのないよう、一方的に約束を取り付けたせっかちわがまま、世界の愛し子。
父の面影を継ぐ、ヒーロー。
あるいは、真正の愛こそロックの罪だったりはしないだろうか。純心とは疑いなき盲信か? そんなバカな。でなくば罰は、これからずっと兄の存在を知らないことになる……。
しかし翻って、それはブルースに与えられた恩赦の形そのものであった。
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