第3章
夢小説設定
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ピピピッ ピピピッ ピピピッ!
・・・。
ピピピッ ピピピッ ピピピッ!
・・・。
何度目かの朝の目覚まし時計の音を耳障りに感じながら、モソ...と起き上がる。
カチっと時計のアラームを止めると、部屋が静寂を戻し始める。
けれどそんなことは気にしないで、日吉はある一点から目を離さずにいた。
自分のすぐ右側にある窓
パカリと口を開いて朝の新鮮な空気を、
桜の微かな香りと一緒に届けてくれていた。
どうして開いているんだ・・・、開けた覚えはないのに。
朝の寝ぼけと、回転の遅い頭でしばらくボーッと窓を見つめていると、
とある考えが浮かんでき、日吉の頭を一気に目覚めさせる。
まさかっ・・・
日吉はバッと布団を勢いよくめくる。
そして案の定と言ったところだろうか。
鈴の姿が忽然と消え失せていた。
ったく、どこへ行ったんだ。アイツは。
窓から外を覗くと下の地面にが小さな足跡が彼女の行き先を示していた。
・・・素足かよ。
なにやってんだか、昨日の今日で。
いや、むしろ昨日の今日だからか、と自分自身の中で勝手に納得をする。
しかし、日吉はそれ以上、鈴のことは必要以上に考えることはしなかった。
いつも通りに道場で精神統一をし、古武術の稽古を。
そして、温かく美味しい朝ごはんを食べたあと、
制服に着替え、テニス部の朝練へと悠々と出かけていった。
日吉の内心は、アイツがいなくなって清々した、と言ったところだろうか。
一時は、化け猫と話せるなんて!とワクワク興奮したが、
今となってはもう“面倒”の一言なのである。
一気に色々巻き込まれすぎた。
混乱していたんだ。
と言い訳を残す。
それはひどい!と反感を買うかもしれないが、
これが日吉の本心なのだから仕方がない。
朝の練習も終え、鳳と一緒に二年生が集う校舎へと、クラスへと向かう。
鳳はクラスが違うので途中で別れたが。
日吉はザワザワと騒めく教室へ、挨拶も無しに入っていく。
そのまま一直線に自分の席・・・窓側の一番後ろの席に座る。
次におもむろに本を開き読み始める。
そしてみんなの背景となるのだ。
それを皆は気にしない、気にならない。
自分も全くそれを気にしない。
好きでこうしてるのだから。
毎日の生活なんか気にかけない。
ただ、部活の時間を除いてだが。
そんな様子で一日をなんの面白みもなく淡々と終わらせつつあった。
部活が終わり、帰路へ着くために手早く着替え始める。
そんな時、ふと今日の部活について疑問が浮かんだ。
その際、日吉は隣で着替えている忍足に話しかける。
「そういえば、今日は跡部さんがいませんでしが、どうしたんですか」
今日の部活には跡部が来なかった。
朝の練習は別にして、放課後の練習に跡部がいないということは珍しいうちに入る。
日吉はそれが気になって仕方がなかった。
好敵手が近くにいないと、やる気も出てこなかった。
そんなことでどうする、と自分自身に活をいれたが。
「あぁ、アイツな。めっちゃ可愛い子連れてバックれおったんや。許せんで、これは」
忍足は力強く語尾に力を加え、怒りを露わにする。
どうせ忍足さんは跡部さんが部活を休んだことじゃなく
その可愛い女の子やらとどこか行った、っていうのに怒ってるんだろうな。
同時に跡部が休んだ理由を把握した日吉は、
呆れた気持ちと情けなさで、気分が落ち込んだ。
全く、あの人は自由奔放というのか、余裕悠長というのか・・・。
そんな人に毎日負け続けているのか、俺は。
“負け続けている”というのは
跡部と試合をして、の意ではなく、気持ちの面でだった。
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