第2章
夢小説設定
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まず何歳だ?
この姿だとお前様と同じ年齢じゃが・・・?
そ・・・その姿で?
・・・成長は人それぞれじゃ、未発達だとか言うな
・・・どうして俺の前に現れた?
散歩中にお前さんと会っただけじゃ
どうして人間になった?
人型の方が動きやすいからの
・・・お前は俺の望みを手伝うと言ったが
まさに“猫の手も借りたい”と言ったところじゃ
その首の鈴は?
・・・ただの貰いもんじゃ、おぬしには関係無い
その喋り方は?
あいでんてぃてぃ
そして質問が8個目にさしかかった時に日吉の顔に緊張が走った。
・・・ん?
それを鈴は見逃さない。
ピクリと眉を動かし寝ていた身体を少し起こす。
日吉はそのままの顔つきで言葉を続けた。
「キス・・・したのはどうしてだ」
いきなりなにかと思えばそんな事だった。
鈴は思わず吹き出して大声で笑いながら布団を転がり回る。
そんな彼女の反応に日吉は苛立ちからだろうか、羞恥心からだろうか、赤面する。
しかし、心の中ではどこか冷静にあることを考えていた。
やはりコイツの笑い方はあの人に似ている、と。
「ックハッハッハッハ!!お主、そんな事を気にしていたのか!ックク」
・・・質問しなければよかった。
笑われることは目に見えていたのに。
日吉は心の中でため息をついた。
彼女はひーひー言いながらも言葉を続けた。
「いや、別にそれに深い意味はない。単に主の血が欲しかっただけじゃ」
は?
彼女の言い分に思わず思考が停止する。
日吉の目の前で彼女ははまだ腹を抱えて笑っていた。
日吉は今度は実際にでかいため息をついた。
こんな奴に易々とキスをされてしまうとは・・・。
情けないと思った。
こんな些細なことをずっと気にしている自分にも。
だけど・・・
「どうして血が欲しかったんだ?」
吸血鬼じゃあるまいし・・・
コイツはただの化け猫だろ?
そう俺が問うと鈴は目尻に溜まった涙を拭きながら言う。
「血は"生命"とも言われている。それを飲むこと、共有することが最大の契りとなるのじゃ」
そして最後にこう付け加えた。
"それがわしにとって情報となる"と
言っていることは訳わからないが、取りあえず納得しておいた。
そして彼女の言葉を頭の中で簡略化する。
コイツは俺の血を飲んだから、俺の情報を知っている、と。
しかしどこからどこまでの情報を知っているというのだろう。
日吉は気になったが、面倒な事なると思ったのであえて聞かなかった。
ふむ、血を飲む理由は理解した。
だけど、それだけだったら・・・
「口からじゃなくても良くないか?」
血を飲みたいのであれば、わざわざ飲みにくい口ではなく、手や首からでもどこでもいいんじゃないだろうか。
日吉がそう彼女に問うと“よいしょ”と完全に身体を起こし、また日吉の首に絡みつく。
さっきのこともあったので日吉は思わず顔を背けた。
そんな彼の様子にククッとまた喉で笑う。
そして彼女はか細い吐息で彼の耳元につぶやいた。
「わかしの事が気に入ったからじゃ」
そう言って彼女は彼の瞳をジッと見つめる。
そう女の子に言われ、挙げ句の果てに、彼女の綺麗な黄金に瞳に見つめられたらさすがの日吉もドギマギしてしまう。
とっさに鈴の顔を手で遠くへ押しやる。
だけど彼女は“ぬ゛ーっ!”という声を上げ、なかなか日吉から離れようとはしなかった。
ったく、俺のどこを気に入ったというのだろう。
ただ猫に愚痴をこぼしていただけなのに、こんなことになるなんて・・・。
コイツはしつこいほど俺に擦り寄ってくる。
白くスベスベした肌が妙に心地よい。
気に入られたっていうよりか、なつかれた、と言ったほうが正しいのかもしれないな。
・・・悪い気はしないが・・・鬱陶しいな。
日吉はまた手で押しやり、鈴を無理やり引き剥がした。
「わかしのいけず!」
そういってプクーッ!と頬を膨らます彼女。
こうしてみると本当に小さな子供に見えた。
不意に、ふぁ・・・とあくびが出た。
壁に掛けてある時計を確認すると、もう10時を過ぎていた。
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