with you once again
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
氷帝学園に下校のチャイムが鳴り響く。
それと同時に各々の教室の扉が開き、帰路へ着く者、部活へ行く者が飛び出していく。
その人たちとは裏腹に教室に残っているものは読書をしていたり、課題に追われていたり・・・。
私も教室にはいるがその輪の中には入らず、一人ぼんやりと放課後の約束について携帯で確認をしていた。
差出人: 跡部景吾
TO : 倉永
放課後、生徒会室で待ってろ、話がある。
俺は少し用事があるが、終わったらすぐに行く。
絶対に来い
思わずため息が出る。
別に生徒会室へ行くのが面倒なのではない。
彼の言う”話”というものが不安でしょうがないのだ。
一体、今更何をいうことがあるというのだろう?
もうあの日から3ヶ月も経つけれど・・・。
もう一度ため息をつき、生徒会室へ行こうと教室を出ると、廊下にいた同じクラスの滝くんとぶつかりそうになった。
「おっと、ごめんよ」
「ん、大丈夫。滝君は今から部活?」
間を繕うために私が思いついたままの言うと、途端に彼は顔を輝かせた。
普段からクールな顔つきしか見たことがなかったので新鮮さを感じた、のと同時に彼もこんな顔をするんだ、と思った。
そして彼はその素敵な笑顔のまま続ける。
「そうなんだよ!もう少しで鳳のスカッドサーブの速度が新記録になりそうなんだ!」
ウオッチを測る仕草をしながら、熱く語る滝君。
少し興奮しているのか、いつもより早口だ。
そっか・・・鳳君のサーブ日に日に速くなってるって前も言ってたっけ
「それじゃあ滝君、責任重大ね。がんばってね」
私がそう言うと彼は短く別れの言葉を告げ、綺麗に切りそろえてある髪をなびかせながら去っていった。
さて、・・・私もこんなところで油を売ってる場合じゃないや、行かなきゃ。
ゆっくり歩き、生徒会室に着くと一応ノックをしてみる。
しかし、返事がない。
ドアノブを回すと”ガチャ”と音がして開いた。
ドアの鈍い音と共に部屋に入った瞬間、彼の香りがフワリと私を包み込んだ。
その香りは綺麗で、美しくて、少しバラの匂いがする。
けど、今の私にはそんな香り、ただの邪魔でしかならない。
パタンと扉を閉め、いつも王様が偉そうに座っている立派な椅子に座る。
キキッ・・・と音を立てながら背もたれに身を預ける。
この席から一望できるこの部屋の物は、流石に彼が使っているだけあって
華美なものが多かったが、几帳面な性格が出ているため、妙に整って見えた。
そして、私の前には作業用の大きな机が備わっている。
その上には本や資料が所狭しと乗っていたが、それもそれで綺麗に片付けられている。
ましてや部屋のスペースを占めている来客用の机やソファーには指紋なんて
一つもないんじゃないのかと思えてしまう。
「相変わらずね・・・」
思わずポツリとつぶやくと眠気が襲ってきた。
最近あんまり寝れてないからかな?
背もたれにより深くもたれかかるとそのまま夢の世界へと旅立ってしまった。
.