第12章
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扉の開く音が夢の中で聞こえた。
うっすらと戻ってくる意識を私はたぐり寄せる。
フワリとした空気が私を迎えに来れば、不意に身体が沈んだ。
ベッドの軋む音。
それが私の意識をたぐるのを手伝ってくれる。
だけど意識を手繰り寄せている私を、彼がまたたぐり寄せる。
彼の冷えた手をネグリジェ越しのお腹で感じながら。
「ッひゃう」
「っと、起きちまったか?」
彼の吐息をすぐ耳元で感じて、身体が熱くなる。
彼が運んできた外の空気の冷たさを背中で感じながら、私は恥ずかしさで目をキュッと瞑った。
ちょうどいいサイズだ。
彼がそう呟くのを聞けば、心臓が徐々に荒く鼓動を打つのが分かる。
彼が連れ込んだ外の空気は二人の体温ですでに温かくなっていて、心地の良いものになっていた。
「ほーら・・・。起きてるんだろ、なんとか言えよ」
彼が耳元で優しく囁けば、私はみるみる内に顔が熱くなるのが分かって、身体を縮ませた。
彼はそれに喉でククと笑えば、さらに私を背後から抱きしめる。
可愛いぜ?お前。
熱い吐息を背中で感じれば、私はさらに身を震わせた。
あ、跡部君・・・私で遊んでるでしょ。
生憎、私はやられたらやり返さなくちゃ気の済まないタチで。
クルリと身体を回転させて、彼と向かい合えば、私も跡部君の背中に手を回して抱きつく。
「お?」
彼は少し驚きの声を上げるが、私はそれを気にせず作業(?)を続ける。
そして、全神経を腕に集中させ、彼を・・・締め上げる。
「ふっ、ぬぬう」
「ッぅ、いたいいたい!!この馬鹿ッ」
跡部君は顔を赤くさせて、私の額にスパンッとチョップを入れる。
それに合わせて私も痛いッ!と声を上げて額を抑えれば、彼とパッチリ目があった。
暫くは無言で。だけどなんだか可笑しく思えて二人して吹き出した。
「っクク、ハーっハッハッハ!!」
「っあはははは、あーもう、お腹痛い!」
二人して同じベッドの上で笑い合えば、なんだかとても彼が近くて。
ドキドキを隠すために私は精一杯笑った。
仕返しだよっ、と私が跡部君に呟けば、彼は言った。
「倉永のそういうところ、俺は好きだぜ」
「そういうとこって?」
行動が突発的なところだ。と彼は微笑む。
そんなに突発的かなぁと思うのと同時に、彼がまた優しく抱き締めてきて。
ドキンと心臓が2倍に跳ねる。
彼の体温と、私の体温がピタリとくっついている所で共有する。
彼の香りが鼻を掠める。ローズの、薔薇の良い香り。
彼の私を抱き締める力具合が丁度良くて心地いい。
ソッと彼のパジャマ越しの胸に顔を埋めれば、彼の鼓動を聞くことが出来て。
今、私は跡部君を身体中で感じれているのが、幸せ。
「フフ、なんか気持ちいい」
「俺もだ。お前を、感じることが出来る」
そう言われれば少し照れ臭かったけど、同じことを思ってるんだと嬉しくなる。
気持ち良すぎて、だんだんと復活してくる睡魔。
またあのフワフワに旅立とうかなあ。
目を閉じてうたた寝する。
彼を感じながら。それはとっても幸せだった。
「・・・明日、俺様のテニスの相手をしろ」
「ん、ぇ?ガッコ、は?」
「土曜日でもお前は学校へ行くのかよ」
あぁ、そっか。今日は金曜日、だっけ。
眠たい頭で考えようとしても上手くまとまらない。
彼の体温が心地良くて、ずっと一緒にいたいな、と思った。
私は彼の胸に手を置き、顔を埋めて鼓動を聞く。
彼の心臓も私と同じようにドキドキしていて、嬉しくなった。
「ねー、おうさま・・・」
「どうした、抱き枕」
「んー・・・。いまね、すっごい幸せ」
彼の胸に顔を埋めて呟く。
その言葉と共に、私はフワフワへと旅立つ。
おやすみ。王様。
また明日ね。
第12章 END 2014/2/20
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