第1章
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「まぁ、そうかもね」
妥当な言葉でこの話を終えた私と彼女は、運動靴に履き替え、グラウンドへと歩みを進める。
これだから誤解されっぱなしなのかもしれないけど、今更訂正するのもどうかと思い、止めた。
それから広いグラウンドに名簿順に並ぶ。
ジャージ姿の彼らも登場して、女の子たちは目をハートにさせた。
うーん。確かにブレザー姿も良いけど、ジャージの方が似合っているかも。
ふと横を見れば、リナも目をハートにさせて忍足君を直視していた。
忍足君はそんな彼女の視線に気づくとフフと口元に弧を描いた。
さらにメロメロになってい彼女を私は半笑いで納めておくことにした。
それから先生の話がおわり、準備体操をし、スタート位置の土手までに移動する。
今回は学校近くの川原で走るようで。
「なぁ。お嬢さん」
川原へ移動していると例の低ボイスが後から。
私は一瞬ビクリと身体を跳ねさせて恐る恐る振り返る。
そこには優しく微笑む忍足君がいて、後ろには跡部君がジャージに手を突っ込んでぶっきらぼうに立っていた。
え?なになに?私また何かしたかな。
「・・・なんでしょうか・・・?」
「あぁ、もうええかげん敬語止めてくれへんかな。クラスメイトやで」
言われてみればそうだ。
しかし、なぜか忍足君は中3の雰囲気がまるでない・・・。
いつも落ち着き払った大人の雰囲気を見せている。
それは跡部君も一緒で。どこかの王子様みたいに細くて綺麗で。
同い年に見えないよー。
「フン。俺様は別に敬語でも構わないぜ」
跡部君も後ろからきて話に加わる。
もう、どうしてー??
周りの女子の視線が痛い。確実に彼女たちの瞳は私たちを捉えていた。
うう、やっぱり注目集めてるよぅ。
リナに助けを求めようと思ったら
さっさと先に歩いていた・・・。
おーい・・・助けてー。
しかし心の中で叫んでも届かず。
「どうして私に話しかけるんですか?・・・あ、話しかけるの?」
私がそう言えば、跡部君がギロとコッチを見たような気がして、思わず身がすくむ。
やっぱ、怖い。
「アーン?・・・覚えてねえのかよ」
一気に機嫌が悪くなったように呟く跡部君に忍足君はまあまあと宥める。
覚えていない?私が、何を?
首をかしげれば跡部君は大きなため息をついた。
「ああ、跡部な。毎回お嬢ちゃん見ると他の子とちゃう言うてうるさいんや」
「他の子と違う?何が?」
「おい。それ以上言ったら・・・」
「すまん。堪忍な」
なにそれ?じゃ、じゃあ私は前から跡部君達に目をつけられていたってこと!?
怖い。なにそれ凄く怖いよ・・・。
「と・・・友達にするならリナを友達にした方がいいよ・・・っ!!」
リナを使って回避しようとした。
リナも忍足君と話したいって言ってたしねっ!
これは名案だと思い、私は顔を輝かせて彼らを覗き見た。
「リナ・・・?誰だそいつは」
「あぁ、もしかしてあの子か?」
忍足君は顎に手を添えて考え出す。
思ったより、彼らの反応はいまいち。私は直ぐに肩を落とした。
えー?普段あんなに騒いでる子なのに?
何げに跡部様ファンクラブの子なのに?
「知らないの?」
言ってしまった時に愚問かなと思った。
だって、誰だって知らない人はいるものだし。
「自分かてクラスの中でまだ知らん男子とかおるやろ?それと同じや」
「・・・ごめんなさい」
なんかこの二人にそう言われると心の底から謝罪の言葉が出てきてしまう。
思わずペコリと頭を下げれば、彼らは可笑しそうに微笑んだ。
「フッ」
「自分、素直な子やな・・・。でも謝らんでもええよ」
二人にそう言われ、私はホッと胸をなで下ろした。
でも、この二人いつも一緒だなぁ・・・。
あ、そっか。同じ部活の人同士だからか。
なんか見てると跡部君の話を忍足君が適当に聞き流しているようにも見えるけど。
仲良し・・・なんだよね?
そんな事を思いながら3人で歩いていたらスタート位置に到着する。
すでにリナが到着していてオイッチニと体操をしていた。
「!? 聖!どうして忍足君たちと一緒にいるの!?」
おぉ・・・。友よ。心の中で君に助けを求めたのだが通じなかったのだよ。
とかなんとか言おうとしたけど、やめた。
どうせそう言ってもグチグチ言われるのがオチだと私は先を見据える。
「・・・。なんか話しかけられた。」
それ以外言い様がないと私はリナを見つめる。
そんな二人はこちらを意識しているようでしていないような
絶妙な勝ち誇った笑みで私の後ろに君臨していた。
なんかもうポジションは固定されたらしい。
「いいなぁー!なんでなんで!?やっぱり朝のが?」
半分正解かな。二人は前から私に目をつけてて・・・
なんて言いにくいなぁ。
「多分・・・」
私が曖昧な返事をしたら、リナの顔が神妙な顔つきになった。
・・・ヤバ。この顔してる時のリナは結構鋭いこ
と考えてるからなぁ・・・。
私がリナに何か言われる前に言葉を付け足そうと口を開こうとしたら
「自分がリナちゃん?」
忍足君がリナに話しかけた!
どう出るリナ?
リナは忍足君のことが好きだと言うけれど、実際話している様子は欠片として見ない。
だから私はワクワクしながらリナたちの行く末を見つめる。
「はっはひっ!!そうでふっっ!!」
.