第3章
名前変換
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プルルルルルル!!
終了のブザーが鳴り響き、回転速度もだんだんとゆっくりになってくる。
ふあぁぁああ・・・!つ、疲れた。
頭がぐらんぐらんするよ・・・っ
係員さんにカチャリと扉を開いてもらうとヨロヨロと降りて、
ヨロヨロと出入口へ向かう。
「だ、大丈夫ですか?」
鳳君が素早く私の肩を支えてくれた。
さすが日ごろ鍛えてるだけあって
ジロー君同様にしっかりと支えてくれる。
「ん、ありがとう。大丈夫だよ」
私がそういうのと同時に宍戸君が口を開いた。
「結構楽しかったぜ!なあ、もう一回乗らねえか?」
「のるのるー!!すっごく楽しいC―!!」
この二人、あのスピードで目が回らなかったのかな・・・すごい。
でも確かに楽しかったけど、もう乗る気にはなれないなあ。
やっとの思いで出口に着くと、
宍戸君とジロー君はダッシュでまた列へと並んでいってしまう。
ジロー君は別として、宍戸君がまさかコーヒーカップなんて
メルヘンなものにハマるなんて思ってもみなかったなぁ。
ハマり方は全くメルヘンじゃないけど。
宍戸君なら“こんなガキみたいなのに乗れるか!”
とか言っちゃいそうなのに。
鳳君もどうやって彼を説得したんだろう。
彼の子供らしい一面にフフッと笑みがこぼれた。
「じゃあ、俺も失礼しますね。お身体、お大事に」
丁寧な言葉を残し、鳳君も彼らのあとに続いて行ってしまった。
そして忍足君が来てくれた。
「お嬢さん。大丈夫か?・・・すごいスピードやったなあ」
彼が含み笑いをしながら私の髪をサラリと撫でた。
・・・少しくすぐったい。
彼のそんな行動に照れながらも自然と笑みが溢れる。
またコーヒーカップに乗り込む3人を目で追いながらも
忍足君と淡いもない話を弾ませる。
忍足君はどうやら恋愛小説が好きらしい。
私も恋愛小説が大好きで知ってる作品を
話に持ち上げては熱く語り合っていた。
「その男がまた根性なしでなぁ・・・いじらしいわぁ」
「フフッ、逆に女の人が積極的だったもんね」
「せやなあ。だけど確かあれって・・・ん?」
忍足君が私の背後にふと視線を移す。
え・・・?なに??
そういえばさっきから女の子たちの賑やかな声が聞こえる。
カーニバル?・・・ではないようだけど。
気になって後ろを振り向く。
いや、正確には“振り向こうとした”という方が正しいのか。
振り向こうとした瞬間に誰かに手を後ろに引っ張られ、
その手の主の胸板に顔が埋まった。
そして背中に手を回され、ギュッと優しく抱きしめられる。
・・・へ?
ん?・・・あれ?え?
とっさに息が、理解ができなくなる。
おしゃれでフローラルな香りが甘く私の鼻をくすぐるだけ。
「っは?ちょっ・・・!何やってんのや!」
忍足君の驚きの声が私の耳にぼんやりと入ってくる。
しかし、耳に入ってくるも頭で理解ができない。
それほどまで私の頭は混沌へ陥っていた。
さっきから頭の中にフロールな香りが中枢神経を麻痺させてくるみたい。
・・・この香りもしかして。
「アーン?しゃべるな忍足。・・・倉永も悪いが我慢しろ」
やっぱり・・・。
流れる綺麗な声の主はやはり跡部君だった。
だけど跡部君がこんなことするなんて・・・。
なに理由があるに違いないが、
私はただ丸太になるしかなかった。
でも、私は少し驚いただけで
嫌でもなんとも思わない私はコクりと頷いた。
第3章 中 END 2013/11/13
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